【薬剤師監修】マグネシウムの取りすぎで下痢・吐き気?副作用とその対処法を解説!

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【記事監修】 現役薬剤師(現場経験15年以上)

  • ✔ 監修者:当サイト提携薬剤師(薬剤師免許取得済)
  • ✔ 15年以上にわたり、累計10万枚以上の処方箋を扱った豊富な臨床経験。
  • ✔ 大学病院門前薬局での高度な専門処方(がん治療・難病薬)対応実績あり。
  • ✔ 地域薬局・ドラッグストアでの一般の方への服薬指導・健康相談実績多数。
  • ✔ 本記事は、公的データ(厚生労働省等)に基づき、監修者が内容の正確性と安全性を確認・保証しています。

マグネシウムは、私たちの体にとって欠かせない大切なミネラルです。

しかし、「体に良いから」とサプリメントや薬で必要以上に摂りすぎてしまうと、かえって体調を崩す原因になることがあります。

特に、下痢や吐き気などの消化器系の不調を感じることがあり、酸化マグネシウムなどの便秘薬を日常的に使っている方は注意が必要です。

 

この記事では、公的機関の最新データと15年以上の現場経験を持つ薬剤師の専門的な知見に基づき、マグネシウムの摂りすぎによる症状や、安全に摂取するためのポイントを科学的根拠に基づいてわかりやすく解説します。

 

【現役薬剤師監修】マグネシウムの過剰摂取で起こる症状と体へのリスクを徹底解説

マグネシウムの摂りすぎによる症状のイメージ
マグネシウムを過剰に摂取した際に出やすい、主な体のサインは以下の通りです。

ほとんどの場合、おなかの症状から現れることが多いです。

 

  • 下痢(おなかがゆるくなる): マグネシウムが腸の中で水分を引き寄せ、便を軟らかくしすぎることが原因です。**便秘薬(酸化マグネシウム)**はこの作用を利用しています。
  • 吐き気や気持ち悪さ: 体がマグネシウムが多すぎると感じたときに起こることがあります。
  • だるさ・眠気: かなり量が多くなると、体が重く感じたり、集中力が落ちたりすることがあります。
  • 脈が遅くなる・呼吸が苦しくなる(重篤な高マグネシウム血症): これは非常に危険な状態です。腎臓の機能が低下している方や高齢者に起こるリスクが高く、すぐに救急の対応が必要です。

 

患者さんのアイコン

マグネシウムの便秘薬を飲んでいるのですが、急にいつもよりひどい下痢になりました。

これは薬の飲みすぎでしょうか?

薬剤師のアイコン

それは、マグネシウムの量が少し多すぎたサインかもしれません。

酸化マグネシウムは量によって効果が大きく変わります。

現場では、患者さんが自己判断で「もっと効かせたい」と増やしてしまい、結果としてひどい下痢で来局されるケースをよく見かけます。

一旦飲む量を減らすか、必ず医師・薬剤師にご相談ください。

マグネシウムが体に蓄積する理由と過剰摂取の仕組み

食事(魚、海藻、豆など)から摂るマグネシウムは、余分な分は腎臓の働きで自然におしっことして出ていくため、過剰摂取の心配はほとんどありません。

しかし、サプリメントや便秘薬(酸化マグネシウムなど)のように、特定の成分を濃縮した形で一度に多く摂ると、体が処理しきれずに血液中にたまり、体調不良を引き起こします。

【重要な安全性情報】サプリメント・薬によるマグネシウムの安全な上限

通常の食品以外から摂取する場合(サプリメントや薬など)は、以下の量を超えると体に悪影響を及ぼすリスクが高まると設定されています。

年齢区分 上限量 (mg/日)
子供1-3歳 65 mg
子供4-8歳 110 mg
子供9-18歳 350 mg
成人 350 mg

出典:厚生労働省 eJIM(統合医療情報発信事業)

 

【薬剤師が解説】マグネシウムの安全な摂取量と過剰摂取を防ぐコツ

マグネシウムの適量を示すイメージ
マグネシウムの摂取量は、食事から摂る「必要量」と、サプリ・薬による「上限量」を分けて考えることが大切です。

 

食事から摂るマグネシウムの1日あたりの推奨摂取量(*1)

健康を維持するために、私たちが日頃の食事で摂りたい量は以下の通りです。

 

成人性別 摂取推奨量 (mg/日)
男性 400–420 mg
女性 310-320 mg

(*1)出典:厚生労働省 eJIM(統合医療情報発信事業)

これは、魚介類、海藻、豆類、ナッツ類などをバランス良く食べれば、基本的にクリアできる量です。

 

サプリや薬で摂取するマグネシウムの上限量と注意すべきポイント

上記で示した通り、サプリや市販薬でマグネシウムを補給する場合、成人では1日350mgを超えないように注意が必要です。

ただし、便秘の治療などで医師から処方された酸化マグネシウムは、治療目的のためこの上限を超える量で出されることがあります。

この場合は、必ず医師の指示通りに使用し、不安があれば薬剤師に相談してください。

自己判断で増量・中止はしないようにしましょう。

 

患者さんのアイコン
(現場の患者さんより)便秘薬を飲んでいるけど、健康のためにマグネシウムのサプリも飲んだ方がいいですか?
薬剤師のアイコン

それは控えたほうが非常に安心です。

便秘薬(酸化マグネシウム)自体が多量のマグネシウムなので、さらにサプリを足すと、簡単に過剰摂取の上限350mgを超えてしまいます

便秘薬を飲んでいる方は、サプリは不要か、必ず飲む前に医師や薬剤師に相談しましょう。

マグネシウムを摂りすぎやすい人の特徴と注意すべきケース

マグネシウム過剰摂取の注意点のイメージ
以下のようなケースでは、ご自身が気づかないうちにマグネシウムを摂りすぎている可能性があります。

 

① サプリメントを複数併用する際のマグネシウムの重複摂取

健康や美容のために複数のサプリを飲んでいると、知らないうちにそれぞれのサプリに少量ずつマグネシウムが含まれていて、合計すると上限を超えてしまうことがあります。

全てのサプリの成分表示(マグネシウム含有量)をチェックし、合計量が成人上限の350mgを超えないよう計算しましょう。

 

② 酸化マグネシウムの便秘薬を長期間使用するリスク

便秘薬は毎日飲む薬のため、気づかないうちにマグネシウムが体内にたまりやすい傾向があります。

特に、腎臓の機能が弱っている方は、マグネシウムを排出する力が落ちているため、**重篤な中毒(高マグネシウム血症)**を起こしやすいので非常に注意が必要です。

 

③ 「にがり」やミネラルウォーターを飲みすぎた場合の注意点

ダイエットや健康目的で使われる**「にがり」(主成分は塩化マグネシウム)**や、マグネシウムを多く含むミネラルウォーターを、通常の食事とは別に大量に摂取すると、過剰摂取につながることがあります。

 

ダイエットや便秘などに効果があるといって摂取されている「にがり」(主成分は塩化マグネシウム)やサプリメントなど、通常の食事以外でマグネシウムを過剰に摂取すると、下痢を起こすことがあります。

出典:公益財団法人 健康長寿ネット

 

マグネシウムの摂りすぎが疑われたときに行うべき正しい対処法

下痢や吐き気など、「もしかしてマグネシウムの摂りすぎかも?」と感じたときの対処法です。

 

① サプリや薬の使用を一時的に調整する(専門家の指示を仰ぐ)

自己判断で急に薬を止めるのは危険な場合もありますが、まずはサプリメントの使用を一旦中止するか、薬の摂取量を減らすことを検討します。

不安があるときは、必ず服用中の薬剤師または主治医に相談して指示を受けてください

 

② 水分補給で脱水症状を防ぐ

下痢などで体から水分が失われることがあります。

脱水を防ぐため、こまめに水やお茶、スポーツドリンクなどを飲んで水分と電解質を補いましょう。

 

③ 重篤な症状の場合は速やかに医療機関を受診

「体がだるくて動けない」「吐き気が止まらない」「意識がぼんやりする」「脈が遅い・呼吸が苦しい」など、強い症状やいつもと違う症状がある場合は、すぐに服用を中止し、速やかに救急外来または病院を受診してください。

 

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腎臓が悪いのですが、便秘薬の酸化マグネシウムは飲み続けても大丈夫ですか?
薬剤師のアイコン

非常に大切なご質問です。腎臓が悪い方は、マグネシウムを体外に出す力が弱く、過剰症(高マグネシウム血症)を起こしやすいため、酸化マグネシウムを自己判断で継続的に飲むのは原則として避けるべきです。必ず腎臓の状態を把握している主治医に相談し、別の便秘薬を処方してもらいましょう。

まとめ:マグネシウムを安全に摂取するための基本ポイントと注意事項

  • マグネシウムは体に不可欠ですが、サプリメントや薬での過剰摂取は下痢・吐き気・重篤な症状の原因になります。
  • 食事からの摂取は安全ですが、サプリや薬で追加する場合は、成人で1日350mgを上限の目安としましょう。
  • 酸化マグネシウムなどの便秘薬とサプリの併用は特に危険です。必ず成分の合計量を確認し、不安な場合は薬剤師に相談を。
  • 腎臓の機能が低下している方や高齢者は、過剰症のリスクが非常に高いため、医師の指示なくマグネシウム製剤を服用するのは避けましょう。
  • 体調に異変を感じたら、まずは摂取を調整し、症状が重い・長引く場合は速やかに医療機関を受診してください。

 


【重要:免責事項とお願い】

この記事は薬剤師の知見に基づき、一般的な情報提供を目的として作成されています。

特定の症状や疾患の診断・治療を意図したものではありません。

個別の健康状態、薬剤の増量・減量、治療法については、必ず服用されている薬の主治医または薬剤師にご相談ください。

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