

【監修・運営責任者】 現役 管理薬剤師 兼 運営マネージャー
- ✅ 運営責任者:当サイト管理薬剤師(現場経験15年以上)
- ✅ 専門資格:認定薬剤師、認定実務実習指導薬剤師
- ✔ 15年以上にわたり、累計10万枚以上の処方箋を扱った豊富な臨床経験。
- ✔ 大学病院門前薬局での高度な専門処方(がん治療・難病薬)対応実績あり。
- ✔ 地域薬局・ドラッグストアでの一般の方への服薬指導・健康相談実績多数。
- ✔ 本記事は、公的データ(厚生労働省等)に基づき、監修者が内容の正確性と安全性を確認しています。
妊娠中や授乳中に胃のムカムカや痛みを感じると、「お腹の赤ちゃんや母乳に影響はないかな?」と不安になりますよね。
実際、薬局の現場でも、妊娠・授乳中の方から最も多くいただくご相談の一つです。
結論として、妊娠・授乳中に使える市販の胃薬は存在しますが、成分によって安全性の基準が大きく異なるため注意が必要です。
例えば、有名な「ガスター10(ファモチジン)」は、妊娠中の服用が原則として禁止(禁忌)されています。
対照的に、「太田胃散S」や「太田胃散チュアブルNEO」などの胃酸を中和するタイプ(制酸剤)は、妊娠中でも服用可能な選択肢となります。
ただしいずれの場合も自己判断を最小限にとどめ、症状が続く場合は産婦人科または消化器内科に相談することを優先してください。
妊娠中・授乳中に胃の不調が起きやすい理由

妊娠中に胃の不調が増えるのは珍しいことではありません。
ホルモンバランスの変化と体の構造的な変化が重なって起こります。
妊娠初期:つわりと胃酸の逆流
妊娠初期は、ホルモン(プロゲステロン)の影響で胃の入り口の筋肉が緩み、胃酸が逆流しやすい「逆流性食道炎」のような状態になりやすいのです。
これが胃酸の逆流(胸やけ)を引き起こしやすい状態です。
つわりによる嘔吐が続くと胃粘膜がさらに刺激されて、胃の不快感が続くことがあります。
妊娠中期〜後期:子宮による胃の圧迫
妊娠が進むにつれて大きくなった子宮が胃を上方に押し上げます。
大きくなった子宮が胃を物理的に押し上げるため、少しの食事でも「すぐお腹がいっぱいになる」「胃が重い」といった症状が出やすくなります。
食事量を減らして回数を増やす・食後すぐに横にならないといった生活習慣の工夫が症状の改善に役立つことがあります。
授乳中:ホルモンバランスの変化
授乳中もホルモンバランスが変化しており、胃腸の動きが通常と異なる状態が続くことがあります。
睡眠不足や食事が不規則になりやすいことも胃の不調につながります。
妊娠中に飲める胃薬・飲めない胃薬【種類別一覧】

妊娠中の薬の使用は種類によって判断が分かれます。
自己判断での服用前に必ず添付文書を確認し、不安な場合は医師または薬剤師に相談してください。
妊娠中に服用禁止:ガスター10(ファモチジン)
市販のガスター10(ファモチジン)は、添付文書で「妊婦または妊娠していると思われる方は服用しないでください」と明記されています。
ガスター10の添付文書には「妊婦又は妊娠していると思われる人は服用しないでください」という、非常に強い警告が記載されています。
動物実験で胎児への影響が報告されていることが理由の一つです。
胸やけや胃酸過多の症状があっても、妊娠中はガスター10を使わず、産婦人科で相談の上で処方薬を使う場合は医師の管理下で行われます。
妊娠中に服用できる可能性がある:制酸剤系胃薬
炭酸水素ナトリウム・炭酸マグネシウム・沈降炭酸カルシウムなどの制酸剤を主成分とする胃薬は、妊娠中でも使用できるものがあります。
太田胃散S・太田胃散チュアブルNEOは妊娠中でも服用でき、太田胃散から発売されているすべての胃腸薬は母乳へ移行する成分が配合されていないため授乳中でも服用できるとされています。
【薬剤師のアドバイス】
妊娠中は体質が変化しやすいため、念のため次回の健診時に「太田胃散を飲んでいます」と一言伝えておくと、より安心ですよ。
【第2類医薬品】太田胃散S 分包 18包入<個包装で持ち運びにも便利。外出先での急な胃の不快感に>
注意が必要:ロートエキス配合の総合胃腸薬
「ロートエキス」が含まれる胃薬は、授乳中に服用すると母乳の出が悪くなったり、赤ちゃんに影響が出たりする可能性があるため、自己判断での使用は避けてください。
ロートエキスは抗コリン作用を持ち、授乳中の場合は母乳に移行して乳児の脈が速くなるリスクが指摘されています。
妊娠中に避けるべき:NSAIDs系鎮痛薬との併用
胃薬そのものではありませんが、胃の不調の原因になりやすいロキソニン(ロキソプロフェン)・イブプロフェンなどのNSAIDsは妊娠中(特に妊娠後期)には禁忌です。
もし痛み止めの副作用で胃が荒れている場合は、胃薬を足すよりも先に、妊娠中に安全な痛み止めへの変更を優先すべきです。
妊娠中に飲める胃薬の早見表

| 薬の種類・商品名 | 妊娠中 | 授乳中 | 備考 |
|---|---|---|---|
| ガスター10(ファモチジン) | ✕ 禁止 | ✕ 禁止 | 添付文書で明確に禁止 |
| 太田胃散S・チュアブルNEO | ○ 可 | ○ 可 | 医師へ服用を伝えること推奨 |
| 大正漢方胃腸薬 | ○ 可 | ○ 可 | 医師へ服用を伝えること推奨 |
| 第一三共胃腸薬プラス | ○ 可 | ○ 可 | 第一三共胃腸薬グリーン錠は不可 |
| サクロン(制酸剤系) | 要相談 | 要相談 | 添付文書で医師相談を推奨 |
| キャベジンコーワα | 要相談 | 要相談 | ロートエキス含有製品は注意 |
※この表は目安です。
必ず各製品の添付文書を確認し、不安な場合は医師・薬剤師に相談してください。
太田胃散S:定番の安心感
授乳中も母乳への移行を気にせず使える、現場でも一番にご紹介することの多い定番品です。
大正漢方胃腸薬:胃もたれ・食欲不振に 漢方成分が、妊娠中の「胃が重くて食べられない」といったお悩みを優しくサポートしてくれます。
第一三共胃腸薬プラス:整腸成分も配合 胃の不調だけでなく、妊娠中に乱れがちな便通や腸内環境も一緒に整えたい方に向いています。
授乳中に飲める胃薬の考え方

授乳中の薬の使用は「母乳に移行するか」「乳児への影響があるか」が判断基準になります。
国立成育医療研究センターの情報を活用する
授乳中の薬の安全性については、国立成育医療研究センターの「授乳中に安全に使用できると考えられる薬」リストが参考になります。
このリストは、国内外の最新のエビデンス(医学的根拠)に基づき、授乳中の相談が多い薬剤の安全性を専門的に評価したものです。
市販薬のパッケージにある成分名とこのリストを照らし合わせることで、医学的な視点から客観的な目安を把握できます。
ただし、市販薬(OTC医薬品)の外箱や添付文書に「相談すること」や「使用しないこと」と記載されている場合は、メーカーが定めた安全基準を優先し、必ず事前に医師や薬剤師へ相談してください。
授乳中に使いやすい市販胃薬の選び方
ロートエキスを含まない制酸剤系の胃薬が授乳中は選びやすいです。
太田胃散シリーズは製造元が「母乳へ移行する成分は配合していない」と明記しており、授乳中の使用実績もある製品です。
ただし症状が強い・長引く場合は市販薬での自己対処を続けず、産婦人科または消化器内科に相談してください。
妊娠中・授乳中の胃の不調を薬なしで和らげる方法
薬を使わずに症状を和らげる方法も合わせて知っておくと、薬への依存を減らせます。
食事の工夫
一度に食べる量を減らして食事回数を増やすことで、胃への負担が軽減されます。
脂肪分が多い食事・辛い食事・炭酸飲料・カフェインは胃酸の分泌を促すため控えめにしてください。
食後すぐに横にならず、上半身を起こした状態を30分程度保つと胃酸の逆流を防ぎやすくなります。
姿勢と睡眠の工夫
妊娠中期以降は左側を下にして横向きで寝ると、子宮による胃への圧迫が軽減されます。
枕を高くして上半身をやや起こした状態で眠ることも胸やけの予防になります。
症状が続く場合は産婦人科に相談する
妊娠中のひどい胸やけ・嘔吐が続く場合は、産婦人科で妊娠に安全な処方薬(酸化マグネシウム・スクラルファートなど)を処方してもらうことができます。
市販薬で我慢するより、安全性が確認された処方薬を適切に使う方が母体・胎児にとって安全なケースがあります。
【Q&A】妊娠中・授乳中の胃薬についてよくある質問
妊娠に気づかずガスター10を飲んでしまいました。
大丈夫ですか?
もし気づかずに数回飲んでしまっても、それだけで直ちに胎児へ悪影響が出る可能性は低いですが、安心のため次回の健診で必ず医師に伝えておきましょう。
継続して飲み続けることは避け、すぐに産婦人科に相談することをおすすめします。
つわりがひどくて水も飲めません。
胃薬は飲んでいいですか?
水も飲めないほどのつわり(妊娠悪阻)は市販の胃薬で対処できる範囲を超えています。
脱水のリスクがあるため、早めに産婦人科を受診してください。
授乳中に太田胃散を飲んでも母乳に影響しませんか?
太田胃散シリーズは製造元が「母乳へ移行する成分は配合していない」と明記しています。
ただし「影響がゼロ」と断言できる薬はなく、症状が軽い場合は薬を使わずに食事・生活の工夫で対処することが最善です。
薬を服用する際は最小限の回数にとどめ、2〜3日飲んでも改善しない場合は、胃腸以外の原因も考慮して受診を検討してください。
処方されたムコスタ(レバミピド)を授乳中も飲み続けていいですか?
処方薬の継続については、処方した医師または調剤薬局の薬剤師に確認してください。
レバミピドの授乳中の安全性については動物実験のデータはありますが、ヒトでのデータは限られています。
自己判断でやめることも、継続することも、医師への確認なしには判断しないでください。
まとめ|妊娠中・授乳中の胃薬選びのポイント
-
ガスター10(ファモチジン)は妊娠中・授乳中ともに禁止 添付文書で明確に禁忌(使用してはいけない)とされています。
-
太田胃散S・チュアブルNEOは服用可能 妊娠中・授乳中ともに使用可能とされていますが、検診時に医師へ報告しておくとより安心です。
-
ロートエキス配合の胃薬は授乳中に注意 母乳への移行や、乳児の脈が速くなるリスクが指摘されているため避けるのが賢明です。
-
つわりが重い・症状が2週間以上続く場合は受診を 市販薬で無理に我慢せず、産婦人科で安全な処方薬を相談してください。
👉 胃薬の症状別の正しい選び方はこちら
👉 ロキソニンと胃薬の正しい組み合わせはこちら
【重要:免責事項とお願い】
この記事は認定薬剤師である監修者の知見に基づき、一般的な情報提供を目的として作成されています。
特定の症状や疾患の診断・治療を意図したものではありません。
個別の健康状態、薬剤の増量・減量、治療法については、必ず服用されている薬の主治医または薬剤師にご相談ください。
(※特に処方薬に関するアドバイスは、必ずお薬をもらった調剤薬局の薬剤師にご確認ください。)






