
記事監修
薬剤師 YS
薬剤師歴10年以上の経験を持つ現役薬剤師です。ドラッグストア、調剤薬局、管理薬剤師として幅広い薬の知識と実務経験を持っています。生活に役立つ医療情報を専門家の視点から分かりやすく解説します。
マグネシウムが豊富な飲み物や食べ物には、ミネラルウォーター、アーモンド、ひじき、豆腐などがあります。
これらを日常的に取り入れることで、マグネシウム不足の予防につながります。
マグネシウムは体内で多くの重要な役割を果たしており、不足すると筋肉のけいれんや疲労感、集中力の低下などが起こりやすくなります。
この記事では薬剤師の視点から、マグネシウムを多く含む飲み物・食べ物や、1日の推奨摂取量について詳しく紹介します。
ぜひ最後までご覧ください。
1. 健康を支えるマグネシウムを知ろう


血圧の調整にも役立つんですよ。
マグネシウムってどんな働きをしているの?その多機能性について
マグネシウムは私たちの体にとって必要不可欠なミネラルです。
体内の約半分が骨に貯蔵され、残りは筋肉、脳、神経組織に広く分布しています。
特に重要なのは、体内で起こる300種類以上もの酵素反応をサポートしている点です。
これには、食べ物からエネルギーを生み出す代謝プロセス、神経から筋肉への情報伝達、そして筋肉の正常な収縮と弛緩が含まれます。
さらに、心臓の健康を保つための不整脈予防や、血圧を適切に調整する役割も担っています。
まさに「縁の下の力持ち」として、私たちの健康を多方面から支えているのです。
マグネシウムはどうやって吸収されるの?意外な関係も!
摂取したマグネシウムは、主に小腸から体内に吸収されます。
吸収されなかった余分なマグネシウムは、腎臓を通じて尿として体外に排出される仕組みです。
マグネシウムの吸収効率には、ある重要な栄養素が深く関わっています。それは、ビタミンDです。
ビタミンDが不足すると、骨からのマグネシウム放出が促されるなど、体内のマグネシウムバランスが崩れる可能性があります。
一方で、カルシウムやリンを過剰に摂取すると、マグネシウムの吸収が妨げられることもあるため注意が必要です。
現代の食生活では、加工食品の増加などによりマグネシウムが不足しやすいため、意識的に補給することが大切になります。
厚生労働省が教える!マグネシウムの1日の推奨摂取量
厚生労働省が定めている「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、マグネシウムの1日あたりの推奨量が年齢や性別ごとに細かく設定されています。
以下の表は、主な成人における推奨量です。
- 成人男性(18~29歳):340mg
- 成人男性(30~49歳):380mg
- 成人女性(18~29歳):280mg
- 成人女性(30~64歳):290mg
特に、妊娠中の女性は胎児の成長に必要なため、通常の推奨量に加えてさらに40mgの摂取が推奨されています。
ご自身の年代や状況に応じた必要量を知ることで、日々の食生活でどの程度意識して摂取すべきかが明確になり、健康管理に役立てることができます。
今の食生活で足りてる?特に不足しがちな栄養素と体のサイン
現代の食生活は、白米や精製されたパン、麺類が中心になりがちで、これによりマグネシウムだけでなく、カリウムや食物繊維といった重要なミネラルや栄養素が不足しやすくなっています。
マグネシウムは玄米、雑穀、豆類、ナッツ、魚介類、海藻類に豊富に含まれていますが、これらを毎日バランスよく摂取するのは難しいと感じる方もいるでしょう。
薬剤師としての視点から見ると、マグネシウム不足が続くと、心臓の拍動が乱れる不整脈、足がつるなどの筋肉のけいれん、原因不明の疲労感といった症状が現れやすくなります。
さらに長期的な不足は、骨がもろくなる骨粗しょう症や、高血圧、動脈硬化のリスクを増加させる可能性も懸念されます。
日々の食事で少し意識を変えることが、未来の健康を大きく左右することにつながります。
栄養を整えるために、まずは基本の食事から始めよう
マグネシウムを含む栄養素を効率よく摂取するためには、まず食事の基本である「主食・主菜・副菜」をバランスよく揃えることが大切です。
マグネシウム摂取の観点からは、主食を白米から玄米や全粒粉パンに変える、副菜に海藻類や豆類、緑黄色野菜を取り入れる、おやつにナッツ類を選ぶなどがおすすめです。
加工食品やファストフードに偏らず、できるだけ自然な食材からミネラルを摂るように心がけましょう。
忙しい日々の中でも、マグネシウムが強化されたミネラルウォーターを選んだり、マグネシウム入りスムージーや栄養スープを活用したりするのも良い方法です。
無理なく続けられる範囲で、食生活を見直してみましょう。
2. マグネシウムの摂取量や不足したときのリスクを詳しく解説


マグネシウムの必要量も細かく設定されていますよ。
「日本人の食事摂取基準」って何?その目的と活用法
厚生労働省が公表している「日本人の食事摂取基準」は、国民の健康の保持・増進、生活習慣病の予防を目的として、各栄養素の1日あたりの摂取目安量や上限量が示されたものです。
これは、私たちの食生活をより健康的なものにするための重要な指針となります。
マグネシウムもこの基準の対象となっており、年齢、性別、身体活動レベルに応じて適切な摂取量が細かく定められています。
この基準を参考にすることで、ご自身のライフスタイルに合わせた栄養バランスを意識しやすくなります。
マグネシウムの年齢・性別による推奨量の違いを意識して
マグネシウムの推奨量は、ライフステージや性別によって異なります。
例えば、活動量の多い30代の成人男性は1日あたり約380mgのマグネシウムが必要とされていますが、年齢が上がると代謝が変化するため、推奨量が若干減少する傾向があります。
一方、成人女性は18歳から64歳で280mgから290mgが目安とされており、特に妊娠中は胎児の健やかな成長のために、通常の推奨量に加えてさらに40mgの追加摂取が推奨されています。
このように、ご自身の年齢や性別、または妊娠の有無によって必要なマグネシウム量が異なることを理解し、日々の食事の工夫に役立てることが大切です。
マグネシウム不足のリスクとは?身体が発するサイン
マグネシウムは体内で多様な機能に関わっているため、不足するとさまざまな不調を引き起こす可能性があります。
短期間のマグネシウム不足でも、筋肉のけいれん(特に夜間のこむら返りなど)、心臓の不整脈、慢性的な疲労感といった症状が現れやすくなります。
さらに、長期的な不足はより深刻な健康リスクにつながることが指摘されています。
例えば、骨の形成に不可欠なため骨粗しょう症のリスクが増加したり、血圧の調整機能が損なわれ高血圧や動脈硬化の進行につながったりする可能性もあります。
現代社会では、外食やコンビニエンスストアの食事が増え、精製された食品を多く摂る傾向があるため、知らないうちにマグネシウムが不足していることも少なくありません。
これらの症状に心当たりがある場合は、食生活を見直すきっかけとしてマグネシウム摂取を意識してみましょう。
一日の栄養バランスを整えるコツとマグネシウムの吸収を促す食品
マグネシウムを効率的に摂取し、日々の栄養バランスを整えるためには、食品選びと食べ合わせが重要です。
マグネシウムは、豆類、ナッツ類、海藻類、魚介類、葉物野菜などに多く含まれています。
これらの食材を積極的に取り入れることを意識しましょう。
また、マグネシウムの吸収をさらに良くするためには、ビタミンDを一緒に摂ることが効果的です。
ビタミンDは鮭やきのこ類(特に干し椎茸)に豊富に含まれているため、これらをマグネシウム含有量の多い食品と組み合わせて摂るのがおすすめです。
例えば、ひじきと鮭の混ぜご飯や、豆腐とわかめのお味噌汁などは、手軽にマグネシウムとビタミンDを同時に摂取できる良い例です。
汁物や炊き込みご飯のように、食材のミネラルが溶け出した煮汁ごと食べられる料理は、栄養素を無駄なく摂取できるため特におすすめです。
3. 毎日の食事にマグネシウムを取り入れるコツとおすすめ食品


日々の食事に取り入れやすい食材ばかりです。
マグネシウムが多い食品リスト:毎日の献立に取り入れやすいもの
マグネシウムを豊富に含む食品は多岐にわたりますが、ここでは特に日常の食事に取り入れやすいものを中心にご紹介します。
- 玄米や全粒粉パンなどの未精製穀物: 白米を玄米に変えたり、パンを全粒粉のものにしたりするだけで、手軽にマグネシウム摂取量を増やすことができます。
- 大豆、黒豆、インゲン豆などの豆類: 味噌汁や煮物、サラダなど、様々な料理に活用できます。豆腐や納豆といった加工品も手軽な摂取源です。
- アーモンド、カシューナッツなどのナッツ類: おやつとしてそのまま食べたり、サラダやヨーグルトのトッピングにしたりと、手軽に摂取できるのが魅力です。
- イワシ、サバ、アジなどの魚介類: 焼き魚や煮魚として食卓に取り入れやすく、良質なたんぱく質も同時に摂れます。
- ワカメ、昆布、ヒジキなどの海藻類: 味噌汁の具材や和え物、煮物など、少量でも多くのマグネシウムを摂取できます。
栄養重視で選ぶなら?おすすめ食材ランキング
マグネシウム含有量だけでなく、日々の食事での取り入れやすさも考慮したおすすめ食材のランキングです。
- 海藻類(ヒジキ、昆布、わかめ):圧倒的なマグネシウム含有量を誇ります。特に乾燥ひじきは少量でも多くのマグネシウムを摂取でき、水戻ししてサラダや煮物、ご飯に混ぜるなど幅広く使えます。
- ナッツ類(アーモンド、カシューナッツ、くるみ):手軽に食べられるおやつとして最適です。小腹が空いた時につまんだり、ヨーグルトやサラダに加えるだけで栄養価アップに繋がります。
- 豆類(大豆、黒豆、枝豆):煮豆、味噌汁、豆腐、納豆など、加工品も含めて日々の食卓に取り入れやすい食品です。タンパク質も豊富で、バランスの取れた栄養補給が可能です。
- 魚介類(イワシ、サバ、アジなどの青魚):マグネシウムだけでなく、DHAやEPAといった良質な脂質も一緒に摂れるため、健康維持に非常に有効です。
- 玄米・雑穀:主食を白米からこれらの未精製穀物に変えるだけで、意識せずともマグネシウムをはじめとするミネラルや食物繊維を効率よく摂取できます。
まずは小さな工夫から始めて、マグネシウムを意識した食生活を実践し、健康維持に役立ててください。
本記事は薬剤師の監修のもと作成しておりますが、個々の体質や健康状態によって必要な栄養量は異なります。
疑問や症状がある場合は、医師や薬剤師にご相談ください。この記事の情報は医療行為を代替するものではありません。