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【記事監修】 現役薬剤師(現場経験15年以上)

  • ✅ 監修者:当サイト提携薬剤師
  • ✅ 専門資格:認定薬剤師、認定実務実習指導薬剤師
  • ✔ 15年以上にわたり、累計10万枚以上の処方箋を扱った豊富な臨床経験。
  • ✔ 大学病院門前薬局での高度な専門処方(がん治療・難病薬)対応実績あり。
  • ✔ 地域薬局・ドラッグストアでの一般の方への服薬指導・健康相談実績多数。
  • ✔ 本記事は、公的データ(厚生労働省等)に基づき、監修者が内容の正確性と安全性を確認しています。

 

子どもの熱が高いとき、「アンヒバ」「カロナール」「アルピニー」などの解熱用坐薬は、つらさをやわらげるためにとても頼りになるお薬です。

一方で、「入れたばかりの坐薬がすぐに出てきてしまった」「少し溶けかけた状態で便と一緒に出てきた」といった場面では、もう一度入れてよいのか、そのまま様子を見た方がよいのか迷ってしまう保護者の方が多くいらっしゃいます。

 

この記事では、国立成育医療研究センターや大学病院、薬剤師会などの情報を参考にしながら、子どもの解熱用坐薬(アンヒバ・カロナール坐薬・アルピニーなど)が出てきてしまったときの判断の目安と、安全な使い方を薬剤師の視点で整理して解説します。

 

「入れてからの時間」と「坐薬の溶け具合」を手がかりに、入れ直してよいケースと、追加するのを控えた方がよいケースがわかるようにまとめています。

自己判断で入れすぎてしまうリスクを避けつつ、必要なときに安心して坐薬を使えることを目指しています。

 

【結論】坐薬が出てきたら再投与は「挿入後の時間」と「形状」で判断する

子どもの解熱用坐薬が出てきてしまったときは、「挿入してからどのくらい時間がたっているか」と「出てきた坐薬の形がどの程度残っているか」を目安に、再投与するかどうかを判断するのが一般的です。

  • 入れてからごく短時間(目安として10分以内)で、ほぼ元の形のまま出てきた → 再挿入を検討しやすい状況とされています。
  • 10分以上たっている、またはドロドロに溶けて形が崩れている → ある程度吸収されている可能性があるため、その場ですぐに新しい坐薬を追加することは避け、いったん様子を見ることが勧められています。
  • 挿入から1時間以上たってから排便があった → 有効成分は多くが吸収されていると考えられ、ふつうは入れ直し不要と説明されることが多いです。

ここから先では、公的機関や専門団体の情報も引用しながら、時間別・状態別の目安をもう少し詳しく見ていきます。

 

公的機関・専門家が示す「坐薬が出たとき」の再投与目安

坐薬の入れ直しについては、多くの専門機関が「時間」と「状態」を基準とした指針を出しています。

代表的な公的・専門情報を整理しました。

国立成育医療研究センターが示す「坐薬がすぐ出た場合」の判断基準

日本の子ども医療の拠点である国立成育医療研究センターの指針では、以下の判断基準が示されています。

坐薬を入れたあと、すぐに便が出てしまった場合、便と一緒に坐薬そのものが出てしまった直後であれば、もう一度入れてもかまいません。

しかし、便の中に坐薬が見えないときは、すでに吸収されていると考えられますので、追加で使う必要はありません。

このことから、「挿入直後に便と一緒に坐薬そのものが出てきたとき」は入れ直しが可能なケースがある一方で、「便の中に坐薬が見えない場合」はすでに効き始めていると考えて追加投与は行わない、という判断が目安になります。

 

病院・薬剤師会が示す「10分以上経過・溶けた坐薬」の考え方

より詳細な「経過時間」については、各地の病院や薬剤師会が以下の具体的な目安を公開しています。

坐薬の形がほぼ残ったまま排出された場合は再度挿入してよいですが、溶けてしまっている場合や10分以上経過している場合は、薬がある程度吸収されているため、すぐに新しい坐薬を入れず様子を見ましょう。

入れてから5分ほどで出た場合でも、溶けかけで形が崩れていなければ入れ直しを検討してよい。

 

これらを踏まえると、「時間」と「溶け方」を組み合わせて、すぐに再投与するのか、しばらく様子を見て次の投与可能時間まで待つのかを判断するのが、安全な使い方の基本といえます。

 

Q&Aで理解する【現場薬剤師からのアドバイス】

Q. 挿入してから30分くらいたって、便と一緒に白っぽいドロドロしたものが出てきました。薬が効いていないということですか?

A. 驚いてしまいますが、必ずしも「効いていない」とは限りません。

挿入から30分ほどたって出てきた白っぽいドロドロは、坐薬の「基剤(油脂など、形を作る土台の成分)」が溶けたものと考えられることが多いです。アセトアミノフェンのような有効成分は、時間の経過とともに直腸の粘膜から吸収されていきますので、「見た目に残っている=効いていない」とは言い切れません。

目安として、挿入後10分以上たっている場合や、坐薬の形が崩れてドロドロになっている場合は、すでにある程度吸収されていると考えられます。

この場合は、すぐに新しい坐薬を追加するのではなく、いったん追加投与を控えたうえで、熱やお子さんの様子を見守る方が安全とされています。

 

時間別・状態別に見る|坐薬が出てきたときの具体的判断基準

ここからは、実際によくある状況をイメージしながら、「挿入からの時間」と「坐薬の形・溶け具合」ごとに、再投与をどう考えるかの目安を整理します。

あくまで一般的な目安であり、お子さんごとに指示された使い方や、主治医・薬剤師から受けた説明がある場合は、そちらを優先してください。

 

挿入から10分以内に坐薬が出てきた場合の対応

一般的に、坐薬は挿入してから少しずつ溶けて、有効成分が直腸から吸収されていきます。

入れてから10分以内など、ごく短い時間でほぼ元の形のまま出てきたときは、吸収されている量が少ないと考えられるケースが多いです。

  • 薬の形がほぼそのまま残っている → 新しい坐薬を再度挿入することが検討されます。
  • 少し角がとれているが、まだ形がわかる程度 → 年齢や体重、前回投与からの時間を踏まえ、かかりつけの医師や薬剤師に相談しながら判断することが望まれます。
  • ドロドロに溶けていて形がはっきりしない → どの程度吸収されているか判断しづらいため、一般的にはいったん様子を見て、次の投与間隔まで待つことが提案されます。

 

挿入から10〜30分で坐薬が出てきた場合の注意点

この時間帯は、すでに成分の吸収が始まっている可能性が高まり、「時間」と「形」の両方を見ながら慎重に判断したいゾーンです。

愛知医科大学病院の情報では、「10分以上経過している場合は、薬がある程度吸収されているため、新しい坐薬を挿入せず様子を見る」ことがすすめられています。

  • 10分以上経過している → 基本的には、すぐに新しい坐薬を追加するよりも、発熱の程度や全身状態を観察し、必要に応じて小児科・救急外来などへ相談することが望ましいです。
  • 形が残っているように見えても、時間がたっていれば吸収が進んでいる可能性がある → 過量投与を避けるため、「次に使ってよい時間(投与間隔)」を優先して考える方が安心です。

 

挿入から30分〜1時間以内に坐薬が出た場合の考え方

アセトアミノフェン坐薬は、一般的に挿入後1時間前後で解熱効果が現れ始めるとされており、この時間帯には、すでに有効成分の多くが吸収されていると考えられます。

  • 30分以上経ってから、便の中に白っぽい油状のものだけが見える → 多くの場合、基剤が排泄されていると考えられ、新たな坐薬は不要と説明されることがあります。
  • 熱が少し下がってきた・楽そうにしている → すでに有効成分が働き始めているサインと考えられます。
  • 1時間近くたっても全く様子が変わらない・ぐったりしている → 次に使える時間や、アセトアミノフェン以外の病気の可能性も含め、小児科や救急外来に相談することを検討してください。

 

挿入から1時間以上たって排便があった場合の判断

挿入から1時間以上たってから排便があっても、一般的には解熱効果にはあまり影響がないと説明されることが多く、ふつうは坐薬を入れ直す必要はないとされています。

  • 1時間以上経過してから排便 → 再投与は不要と考えられるのが一般的です。
  • その後も高熱やつらさが続く → アセトアミノフェン坐薬の推奨投与間隔(4〜6時間以上)を守り、次に使ってよい時間になってから、必要に応じて次の投与を検討します。

 

アセトアミノフェン坐薬の用量・投与間隔の基本ルール

アンヒバ・アルピニーなどの小児用解熱鎮痛坐薬の多くは、アセトアミノフェンを有効成分としています。

アセトアミノフェン坐薬の使い方は、体重によって決まってくるため、処方されたときや薬局で案内された「用量・回数」を守ることがとても大切です。

特に意識したいポイントは、「1日に使える合計量には上限があること」と「4〜6時間以上あけて使うこと」の2つです。

これらは、肝臓への負担を減らし、副作用のリスクを下げるために重要なルールです。

 

【薬剤師からのお願い】

「さっき入れたばかりなのに、うまく入らずに出てきてしまった」「まだ熱が高いから、もう1本入れた方が早く下がるかも」と感じる場面は少なくありません。

ただし、アセトアミノフェン坐薬は体重あたりの1日量が決まっており、短い間隔で何度も使うと、肝臓への負担など思わぬ副作用につながるおそれがあります。

不安なときほど自己判断で間隔を詰めるのではなく、「前回は何時に何mg(何本)使ったか」をお薬手帳やメモに残し、次の投与まで時間をあけることを意識してみてください。

それでも心配な場合は、夜間・休日も対応している小児救急電話相談(#8000など)や、かかりつけの医療機関に遠慮なく相談していただくと安心です。

 

坐薬が出てきやすい原因と、正しい入れ方のコツ

坐薬がすぐに出てきてしまう場合、「挿入の深さ」や「入れたあとにどのように押さえるか」といったポイントが影響していることがあります。

いくつか簡単なコツを押さえるだけで、ぐっと収まりやすくなることもあります。

 

坐薬をスムーズに入れるための下準備と工夫

国立成育医療研究センターの説明では、坐薬が入りにくいときは、薬の先端を少量の水で濡らしてから挿入すると滑りがよくなり、入れやすくなるとされています。

一般的には、ワセリンやオリーブオイルなどを少量つけて摩擦を減らす方法が用いられることもあります。

  • 坐薬のとがった方を先にして挿入する。
  • 先端を少量の水や、指示された潤滑剤で湿らせると、痛みや抵抗感が少なくなります。

 

坐薬挿入時の体勢と押さえ方のポイント

挿入の体勢も大事なポイントです。国立成育医療研究センターでは、子どもを仰向けに寝かせて両足を持ち上げ、坐薬の先を肛門から入れたら、数秒間押さえる方法が紹介されています。

こうすることで、反射的に押し戻されるのを防ぎやすくなります。

和歌山県薬剤師会の解説でも、乳幼児に坐薬を入れるときは「オムツ替えの姿勢」で足を持ち上げ、挿入後しばらくティッシュ越しに肛門をそっと押さえていると収まりやすいとされています。

実際に多くの医療機関でも、挿入後1〜2分ほど押さえておくよう指導されることがあります。

 

解熱坐薬のメリットと使用時の注意点

坐薬には、「胃腸への負担が比較的少ない」「吐き気や嘔吐で飲み薬が飲めないときにも使える」などのメリットがあります。

そのため、小児医療の現場でもよく使われるお薬のひとつです。

  • 飲み薬が苦手なお子さんや、吐き気で飲めない場合にも使える選択肢です。
  • 適切な用量・間隔を守れば、安全性が比較的高い解熱鎮痛薬として広く使用されています。

一方で、入れ方がうまくいかないとすぐに出てきてしまうこともあり、保護者の方が不安を感じやすいお薬でもあります。

肛門からの投与であることから、心理的な抵抗感を持つ場合もあるため、事前に医師や薬剤師から説明を受けておくと安心です。

 

解熱坐薬のメリット・デメリットと副作用リスク

メリット|飲み薬が使えない場面でも解熱できる

アセトアミノフェン坐薬は、発熱時の頭痛や節々の痛みをやわらげ、眠りやすくしたり、水分をとりやすくしたりすることが期待できます。

また、吐き気や嘔吐が強く、粉薬やシロップが飲みにくいときにも使える点が大きな利点です。

適切な用量・間隔を守って使用すれば、長年小児科領域で使われてきた比較的安全性の高い解熱鎮痛薬として位置付けられています。

 

注意点|過量投与による肝機能への影響

注意したいのは、「効かないから」と感じて自己判断で間隔を詰め、何度も使用してしまうケースです。

アセトアミノフェンは、体重に応じて1日に使用できる上限があり、それを超える量を続けて使うと、肝機能障害などのリスクが高まるとされています。

  • 市販薬と処方薬の両方にアセトアミノフェンが含まれている場合、気づかないうちに総量が増えてしまうことがあります。
  • 黄疸(皮膚や白目が黄色く見える)、強いだるさ、食欲不振などの症状があらわれた場合は、アセトアミノフェンに限らず、早めの受診が必要です。

 

薬剤師がすすめる|自己判断を避けるための工夫

薬局でご相談を受けていると、「いつ・どれくらい使ったか」が記憶だけに頼ってしまい、正確な回数や量がわからなくなっているケースは少なくありません。安全に使うために、簡単な工夫をしておくと安心です。

  • 坐薬を使った時間・量を、お薬手帳やスマートフォンのメモアプリに記録しておく。
  • 「前回の使用から4〜6時間以上あける」「1日量は体重あたりの上限を超えない」という2つのルールを意識しておく。
  • 処方時に、医師・薬剤師から自分の子どもに合った用量・最大回数を確認し、その場でメモしておく。

 

また、坐薬の保管状態も大切です。夏場の車内など、高温になる場所に長時間置いておくと、坐薬が一度溶けて再び固まり、均一性や溶け方が変わってしまうことがあります。そのような状態の坐薬は、専門家からは使用を避けるよう説明されることがあります。

 

迷ったときの行動指針|受診・相談・お薬手帳の活用

坐薬が出てきてしまったときや、使い方に迷ったときに、どのような行動を取ればよいかをあらかじめイメージしておくと、いざというときに落ち着いて対応しやすくなります。

  • 軽い発熱で、機嫌もよく水分がとれている → 無理に坐薬を追加せず、冷却やこまめな水分補給、衣服の調整などで様子を見る。
  • ぐったりしている・呼びかけに反応が弱い・水分がとれない → 坐薬の有無にかかわらず、速やかに受診を検討する。
  • 「再投与してよいか」「次はいつ使えるか」がわからない → お薬手帳や使用履歴を手元に用意し、かかりつけ医・薬局、または小児救急電話相談(#8000 など)に相談する。
  • 救急や小児科を受診した際には、「いつ・何mg(何本)の坐薬を入れたか」「出てきてしまった時間と様子」を具体的に伝える。

 

お薬手帳には、処方された坐薬の製品名・含量・指示された用量や回数を記録できます。受診先が変わっても、過去の使用状況を共有できるので、医師や薬剤師がより安全な判断をしやすくなります。

 

【まとめ】坐薬が出てきても慌てず「時間」と「子どもの様子」で判断しよう

  • 子どもの解熱用坐薬(アンヒバ・カロナール・アルピニーなど)が出てきた場合は、「入れてからの時間」と「坐薬の形」が再投与判断の重要な目安になります。
  • 挿入後10分以内で、ほぼ元の形のまま出てきた場合は、再度入れ直せる可能性があります。
  • 10分以上経過している、または溶けて形が崩れている場合は、すでに吸収されている可能性が高く、追加投与は控えるのが基本です。
  • 1時間以上たってから排便があった場合は、多くの場合再投与は不要と考えられます。
  • 自己判断での使い過ぎは避け、用量・投与間隔(4〜6時間以上)を守り、不安なときは医師や薬剤師に相談しましょう。

【重要:免責事項とお願い】

この記事は認定薬剤師である監修者の知見に基づき、一般的な情報提供を目的として作成されています。

特定の症状や疾患の診断・治療を意図したものではありません。

個別の健康状態、薬剤の増量・減量、治療法については、必ず服用されている薬の主治医または薬剤師にご相談ください。
(※特に処方薬に関するアドバイスは、必ずお薬をもらった調剤薬局の薬剤師にご確認ください。)

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