

【記事監修】 現役薬剤師(現場経験15年以上)
- ✔ 監修者:当サイト提携薬剤師(薬剤師免許取得済)
- ✔ 15年以上にわたり、累計10万枚以上の処方箋を扱った豊富な臨床経験。
- ✔ 大学病院門前薬局での高度な専門処方(がん治療・難病薬)対応実績あり。
- ✔ 地域薬局・ドラッグストアでの一般の方への服薬指導・健康相談実績多数。
- ✔ 本記事は、公的データ(厚生労働省等)に基づき、監修者が内容の正確性と安全性を確認・保証しています。
熱が出た時に「解熱剤はいつ飲めばいいの?」と迷っていませんか。
高熱が出ると不安になりますよね。
これまで多くの患者さんから解熱剤の使用タイミングについて相談を受けてきました。
この記事では、そんなあなたの疑問を解決するために、薬剤師の私が、解熱剤の正しい選び方や効果的な使い方、そして飲むタイミングについて、薬局の現場で得た知見を交えながら、わかりやすく解説します。
薬剤師が教える解熱剤のベストな飲み方|熱より「つらさ」を基準にしたタイミング

解熱剤を飲む最適なタイミングは、熱の数字だけでなく、体のつらさや他の症状によっても変わります。
高熱時の解熱剤は必要?役割と使う目的を薬剤師が解説
まず理解しておきたいのは、解熱剤は熱そのものを治す薬ではないということです。
病気の原因(ウイルスや細菌など)を直接退治するわけではありません。
解熱剤の主な役割は、熱で感じる体のつらさ(ひどい頭痛、関節の痛み、全身のだるさなど)を和らげることです。
特に高熱で体力が大きく消耗している時は、解熱剤で一時的に症状を和らげ、体を休ませることが回復を早めるために重要です。
体のつらさが基準!無理せず解熱剤を使うタイミングとは
「熱が出ても、薬はあんまり飲みたくないな…」と我慢される患者さんも多くいらっしゃいます。
でも、無理に我慢して体力を消耗しすぎると、かえって回復が遅れてしまうこともあります。
薬局では「頭痛で眠れない」「関節が痛くて食事が進まない」といったご相談を受けた際は、「つらさを我慢せず、薬で体を楽にして休んでください」とお伝えしています。
👨⚕️薬剤師と患者さんのQ&A(現場でのアドバイス)
患者さん:熱が高くても薬は飲まずに我慢した方が、早く治る気がするんですが…
薬剤師:熱を下げることだけが目的ではありません。
つらい状態を我慢して睡眠や食事が取れないと、体力が落ちて回復が遅れてしまいます。
「熱のつらさ」で動けないと感じたら、無理せず薬で体を楽にすることが大切です。
厚生労働省も、インフルエンザで熱が出た時の解熱剤の使い方について、以下のように示しています。
Q20:インフルエンザにかかったら解熱剤は使わない方が良いのですか?
A:インフルエンザに伴う発熱に対しては、アセトアミノフェンを第一選択薬とします。
アスピリン等のサリチル酸系薬剤、ジクロフェナクナトリウム、メフェナム酸の小児への使用は原則として行いません。
「つらい」と感じたら、無理せずに解熱剤を使って、ゆっくりと体を休ませてあげましょう。
ただし、熱が続く場合や、他に気になる症状がある場合は、必ず医師や薬剤師に相談してくださいね。

え、無理して我慢しなくていいんですね。なんだか安心しました。

はい、つらい時は我慢せず、適切に薬を使って体を休めることが大切です。体の回復力を助けることが一番です。
微熱時の解熱剤使用は必要?37.5℃前後での判断ポイント
一般的に、37.5℃前後の微熱であれば、すぐに解熱剤を服用する必要はないことが多いです。
体は熱を出すことで、病気の原因(ウイルスなど)と戦おうとしています。
無理に熱を下げてしまうと、この体の自然な防御反応を弱めてしまう可能性も考えられます。
【薬剤師の現場の知恵】微熱程度で、元気や食欲があるなら、まずは水分補給と安静を心がけましょう。
ただし、普段から熱が出にくい方や、体がひどくだるいと感じる場合は、自己判断せず医師や薬剤師に相談してください。

先生、熱が出たら38℃超えたらすぐに飲まなきゃって思ってました。

そう思われる方も多いですが、「体がどれだけつらいか」も大切な判断基準なんですよ。
症状別に解説|解熱剤の効果的な飲み方と服用タイミング


なるほど、熱の高さだけじゃないんですね。じゃあ、どんな症状なら飲んだ方がいいんでしょう。

はい、具体的な症状別に解説していきますね。あなたの状況に合うか確認してみてください。
38.5℃以上の高熱時に解熱剤を使うタイミングと体力消耗の防ぎ方
38.5℃以上の高熱は、体をとても疲れさせます。
特に、ぐったりしている、食欲がない、眠れないといった症状がある場合は、体力の消耗を防ぐためにも解熱剤の使用を検討しましょう。
解熱剤を飲むことで、一時的に症状が楽になり、食事や睡眠がとれれば、回復につながります。
発熱時の対応について、厚生労働省は「発熱などの症状がある場合は、安静にし、脱水を防ぐよう水分を十分に取ることが重要」とし、「高熱が続く場合やぐったりしているときには、医師に相談のうえで解熱剤を使用する」としています。
症状や持病に応じて適切な対応を取ることが大切です。
頭痛・関節痛がつらい時の解熱鎮痛剤の使い方と選び方
解熱剤の多くは、熱を下げる効果だけでなく、痛みも和らげる「鎮痛」効果を併せ持っています。
発熱に伴うひどい頭痛や関節の痛みがある場合は、これらの痛み止め効果も考えて解熱剤を選んでみましょう。
痛みが軽くなると、体を休めやすくなります。
ただし、痛みが薬で和らいでも、無理に活動はせず、安静にしてください。
悪寒・震えがある時の解熱剤使用の注意点|体の自然反応を理解
ゾクゾクと寒気がしたり、体が震えたりするのは、体が体温を上げようとしているサインです。
これは、体が病気と戦うための自然な反応です。
この時に解熱剤を飲むと、体の自然な反応に逆らうことになり、かえって体に負担をかけてしまうことがあります。
🚨【重要・安全情報】悪寒・震えがある時の服用は避けて!
寒気や震えがあるときは、まず体を温めましょう。
熱が上がりきって、寒気や震えがおさまり、体が熱いと感じるようになってから解熱剤を飲むのが、効果的で体への負担も少ないとされています。
下記こどもクリニックの情報でも、体を冷やすタイミングについて触れられています。
冷やすのは、首、脇の下、股の付け根などを氷枕などで冷やします。
熱があっても寒いと言っているときには冷やすとかえって気分が悪くなるので避けた方が良いでしょう。

寒気がするときって、熱が上がる前に飲んでおけばいいと誤解していました。

体が熱を上げようとしているサインなので、そのタイミングは避けて、熱が上がりきって体が熱くなった時からがおすすめです。
熱の上がり始めとピーク後の解熱剤使用タイミングの違い
繰り返しになりますが、熱の上がり始め(寒気がある時)は、体が熱を上げようとしているため、解熱剤を飲むのは避けるのがおすすめです。
寒気が治まり、熱が上がりきって、体が熱いと感じるようになった時が、解熱剤の効果がより期待できるタイミングとされています。
このタイミングで使用することで、つらさを和らげ、安静を保ちやすくなります。
解熱剤Q&A|薬剤師が答える患者さんのよくある疑問
薬局でよく聞かれる、解熱剤のギモンにお答えします。
Q1:解熱剤で熱が下がらない場合の対処法と注意点
A:解熱剤は、飲んでから効果が出るまでに30分〜1時間ほどかかり、効いている時間も薬によって異なります。
飲んでも熱が下がらない、または一時的に下がってもすぐにまた上がってしまう場合は、病気が重いサインかもしれません。
決められた間隔をあけて再度使用しても効果が感じられない場合は、自己判断せずに、早めに医療機関を受診してください。
Q2:解熱剤は空腹時でも安全?成分別の注意点
A:薬の成分によって異なります。
- アセトアミノフェンが主成分の解熱剤は、比較的胃への負担が少ないため、空腹時でも飲めるものが多いです。(ただし、必ず薬の説明書を確認してください)
- イブプロフェンやロキソプロフェンなどの解熱鎮痛剤は、胃が荒れやすくなる作用があるため、できるだけ食事の後など、胃に何か入っている状態で飲むことが推奨されています。
食事が取れない場合は、ゼリー飲料やスープなど、軽く何かを食べてから飲むと胃への負担が軽減されます。
👨⚕️薬剤師と患者さんのQ&A(現場でのアドバイス)
患者さん:熱が高くて食欲がないのですが、薬を飲むために無理して何か食べた方がいいですか?
薬剤師:もしイブプロフェンやロキソプロフェン系のお薬なら、胃を守るためにゼリー飲料やスープなど、少しでも胃に優しいものを入れてから飲むことをおすすめします。
アセトアミノフェン系は比較的負担が少ないですが、添付文書(説明書)は確認してください。
Q3:子どもの解熱剤使用|適切なタイミングと注意点
お子さんの発熱は心配ですよね。
大人とは違う注意点があるので、特に慎重な判断が必要です。
🚨【子どもの解熱剤使用の重大な注意点】
- 飲むタイミング:大人と同じく、熱の高さより「つらさ」が重要です。ぐったりしている、機嫌が悪い、眠れないなど、熱のせいで体力を消耗している時に使用を検討します。
- 薬の選び方と量:子どもの解熱剤は、年齢や体重に合ったもの、そして正しい量を選ぶことがとっても重要です。必ず医師や薬剤師の指示、または薬の箱や説明書に書かれた量を守ってください。
- 熱性けいれん:以前に「熱性けいれん」を起こしたことがあるお子さんの場合は、医師から特別な指示があるはずです。必ずその指示に従って使用し、解熱剤はけいれんを予防する効果はないことを理解しておきましょう。
解熱剤の使用は1日2~3回にとどめ、4~5カ月未満の乳児には一般的には使いません。
解熱剤としては小児科ではアセトアミノフェンを最もよく使います。
インフルエンザ、水痘に対しては、望ましくない解熱剤がありますので注意が必要です。

子どもが熱を出すと、本当に慌ててしまって。大人と同じでいいのか迷います。

お子さんの場合は特に慎重な判断が必要です。大人の薬とは違う点も多いので、自己判断せずに、必ず医療の専門家に相談してくださいね。
自分に合った解熱剤の選び方|主要成分と選ぶ際の注意点

市販の解熱剤は、主に以下の3つの成分に分けられます。
ご自身の体調や持病に合わせて選びましょう。
解熱剤の主成分と作用の違い|アセトアミノフェン・イブプロフェン・ロキソプロフェン
| 主要成分 | 作用の特徴 | 特に注意すべき点 |
|---|---|---|
| アセトアミノフェン | 熱を下げ、痛みを和らげる。
胃への負担が少ない。 |
1日に飲める量が厳密に決まっている。
肝臓に負担がかかることがあるため、飲酒時や肝臓が悪い方は注意。 |
| イブプロフェン | 熱・痛みを抑える力が強い。
炎症を抑える効果もある。 |
胃腸への負担がかかりやすい。
喘息や腎臓が悪い方は注意。 |
| ロキソプロフェン | 熱・痛みを抑える力が強い。
炎症を抑える効果もある。 |
胃腸への負担がかかりやすい。
(市販薬では胃を守る成分と一緒になっていることが多い) |
持病や服薬中でも安心!解熱剤選びの注意点
腎臓や肝臓に疾患がある方、心臓病の方、また他の薬を服用している方は、解熱剤使用前に必ず薬剤師や医師に相談してください。
特に、血液をサラサラにする薬(ワーファリンなど)を飲んでいる方や、痛風の薬を飲んでいる方は、解熱剤との飲み合わせで思わぬ副作用が出る可能性があります。自己判断は非常に危険です。
解熱剤使用前に確認|安全に使うための重要なポイント


いろいろと勉強になりました。他に気を付けることはありますか。

はい、安全に薬を使うために、特に重要な点を2つお伝えします。
解熱剤の服用間隔と量を守る重要性|副作用を防ぐポイント
解熱剤の説明書には、「〇時間以上あけてください」や「1日に〇回まで」といった、飲む量や時間の間隔が書かれています。
これを守らないと、薬の成分が体にたまりすぎてしまい、思わぬ副作用(特に肝臓や腎臓への負担)が出てしまう危険性があります。
薬の効きが悪いと感じても、絶対に量を増やしたり、飲む間隔を短くしたりしないでください。
👨⚕️薬剤師と患者さんのQ&A(現場でのアドバイス)
患者さん:熱が下がらないから、効き目がない気がして。
規定時間より早くもう一度飲んでも大丈夫でしょうか?
薬剤師:それは大変危険です。
服用間隔は、体から薬の成分が抜ける時間を考慮して決められています。
間隔を短くすると、薬が体にたまり、副作用のリスクが格段に高まります。
必ず説明書の間隔を守り、効果が不十分なら医療機関にご相談ください。
解熱剤と他の薬の飲み合わせで注意すべき点
市販の風邪薬や頭痛薬、中にはアレルギーの薬にも、解熱鎮痛成分(アセトアミノフェンなど)が含まれていることがあります。
知らずに複数の薬を飲むと、成分が重なってしまい、過剰摂取となり副作用のリスクが非常に高まります。
もし他に薬を飲んでいる場合は、購入時や飲む前に、必ず薬剤師に相談して「飲み合わせ」を確認してください。
解熱剤使用中でも受診が必要な症状とは?重症サインの見極め方
以下のような症状が出たら、解熱剤を飲んでいるかどうかにかかわらず、すぐに病院を受診しましょう。
これらは重い病気のサインである可能性があります。
- 息をするのが苦しそう、ゼーゼーと音がする
- 意識がはっきりしない、声をかけても反応が鈍い
- 顔色がひどく悪い、唇が紫色になっている
- 水分が全く摂れない、またはひどい下痢が続く
- けいれんを起こした
- 体に発疹(ぶつぶつ)が出ている
- 症状がだんだん悪くなっている
子どもは急に高熱を出すことが多く、特に乳幼児のお子さんを持つ親御さんは高熱が出ると心配して慌てて救急外来を受診することもよくありますが、熱の高さだけではなく全体的な様子を十分観察することが肝要です。
まとめ|解熱剤を正しく使って発熱時のつらさを和らげる方法
- 解熱剤は「熱の高さ」ではなく、「体のつらさ」を基準に使うのがポイント。
- 高熱時は体力の消耗を防ぐ目的で使用し、体を休めることが回復を早める。
- 寒気や震えがある「熱の上がり始め」には飲まず、熱が上がりきってからの服用が効果的。
- 微熱程度なら、水分補給と安静を優先し、無理に薬を使わない判断も大切。
- 解熱剤は主に「アセトアミノフェン」「イブプロフェン」「ロキソプロフェン」の3種類があり、体質や持病に合わせて選ぶ。
- 服用間隔・回数・量は必ず守り、副作用防止のため自己判断で増量しない。
- 子どもの解熱剤は年齢・体重に応じて量が異なり、必ず医師・薬剤師の指示を確認する。
- 持病や他の薬を服用している場合は、必ず専門家に相談してから使用する。
- つらい時は我慢せず、正しく薬を使って休むことが、体の回復を助ける最善の方法。
【重要:免責事項とお願い】
この記事は薬剤師の知見に基づき、一般的な情報提供を目的として作成されています。
特定の症状や疾患の診断・治療を意図したものではありません。
個別の健康状態、薬剤の増量・減量、治療法については、必ず服用されている薬の主治医または薬剤師にご相談ください。

