解熱剤を飲むベストなタイミングは?効果的な使い方と注意点を現役薬剤師が解説!

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記事監修

薬剤師 YS

薬剤師歴10年以上の経験を持つ現役薬剤師です。ドラッグストア、調剤薬局、管理薬剤師として幅広い薬の知識と実務経験を持っています。生活に役立つ医療情報を専門家の視点から分かりやすく解説します。

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熱が出た時「解熱剤、いつ飲めばいいの?」と迷っていませんか。

熱が出るときは本当に不安になりますよね。

この記事では、そんなあなたの疑問を解決するために、現役の薬剤師が解熱剤の正しい選び方や効果的な使い方、そして飲むタイミングについて、わかりやすく解説します。

 

1. 解熱剤を飲む「ベストなタイミング」は症状と体調がカギ

解熱剤を飲むタイミングのイラスト

解熱剤を飲む一番良いタイミングって、実は熱の高さだけじゃなくて、体のつらさや症状によって変わってきます。

 

熱が高ければすぐに飲むべき?解熱剤の役割と目的を理解しよう

解熱剤は、熱そのものを治す薬ではありません

熱が出ている原因(ウイルスや細菌など)をやっつけるわけじゃなく、熱で感じる体のつらさ(だるさや痛みなど)を和らげるのが主な役割です。

特に、高熱で体力がすごく消耗している時は、解熱剤で一時的に症状を楽にして、体をゆっくり休ませてあげることが大切です。

 

「つらい」と感じたら、解熱剤を使うのが効果的?

「熱が出ても、薬はあんまり飲みたくないな…」って思う方もいるかもしれませんね。

でも、無理に我慢して体力を消耗しすぎると、かえって回復が遅れてしまうこともあるんです。

厚生労働省も、インフルエンザで熱が出た時の解熱剤の使い方について、こう言っています。

 

Q20:インフルエンザにかかったら解熱剤は使わない方が良いのですか?
A:インフルエンザに伴う発熱に対しては、アセトアミノフェンを第一選択薬とします。
アスピリン等のサリチル酸系薬剤、ジクロフェナクナトリウム、メフェナム酸の小児への使用は原則として行いません。

厚生労働省:インフルエンザQ&A

 

「つらい」と感じたら、無理せずに解熱剤を使って、ゆっくりと体を休ませてあげましょう。

ただし、熱が続く場合は医師や薬剤師に相談してくださいね。

 

患者さんのアイコン
え、無理して我慢しなくていいんですか。
なんだか安心しました。
薬剤師のアイコン
はい、つらい時は我慢せず、適切に薬を使って体を休めることが大切です。

微熱はどうする?解熱剤の必要性を見極めるポイント

一般的に、37.5℃くらいの微熱であれば、すぐに解熱剤を飲む必要はないことが多いです。

体は熱を出すことで、病気の原因と戦おうとしています

無理に熱を下げてしまうと、この体の防御反応を弱めてしまう可能性も考えられます。

ただし、持病がある方や、体調がひどく悪いと感じる場合は、自己判断せず医師や薬剤師に相談してくださいね。

 

患者さんのアイコン
先生、熱が出たら38℃超えたらすぐに飲まなきゃって思ってました。
薬剤師のアイコン
そう思われる方も多いですが、熱の高さだけでなく、体のつらさも大切な判断基準なんですよ。

 

2. 症状別!解熱剤の効果的な服用タイミングと判断基準

症状別の解熱剤使用判断のイラスト

患者さんのアイコン
なるほど、熱の高さだけじゃないんですね。
じゃあ、どんな症状なら飲んだ方がいいんでしょう。
薬剤師のアイコン
はい、具体的な症状別に解説していきますね。
あなたの状況に合うか確認してみてください。

 

あなたの症状に合わせて、解熱剤を飲むタイミングを具体的に見ていきましょう。

38.5℃以上の高熱の場合:体力消耗を防ぐための賢い飲み方

38.5℃以上の高熱は、体をとても疲れさせます。

特に、ぐったりしている、食欲がない、眠れないといった症状がある場合は、体力の消耗を防ぐためにも解熱剤の使用を検討しましょう。

厚生労働省の情報でも、元気があるかないかが判断のポイントとされています。

 

発熱時の対応について、厚生労働省は「発熱などの症状がある場合は、安静にし、脱水を防ぐよう水分を十分に取ることが重要」とし、「高熱が続く場合やぐったりしているときには、医師に相談のうえで解熱剤を使用する」としています。
症状や持病に応じて適切な対応を取ることが大切です。

厚生労働省|インフルエンザQ&A(令和6年度)

 

頭痛や関節痛など「痛み」が強い場合:解熱鎮痛剤の活用術

解熱剤の中には、熱を下げる効果だけでなく、痛みも和らげる効果を併せ持つ「解熱鎮痛剤」が多くあります。

発熱に伴うひどい頭痛や関節の痛みがある場合は、これらの痛み止め効果も考えて解熱剤を選んでみましょう。

痛みが軽くなると、体を休めやすくなります。

 

悪寒や震えがある時:体が熱を上げようとしているサインを見極める

ゾクゾクと寒気がしたり、体が震えたりするのは、体が体温を上げようとしているサインです。

この時に解熱剤を飲むと、体の自然な反応に逆らうことになり、かえって体に負担をかけてしまうことがあります。

 

寒気や震えがおさまって、体が熱いと感じるようになってから解熱剤を飲むようにしましょう。

沖縄県医師会の情報でも、体を冷やすタイミングについて触れられています。

 

冷やすのは、首、脇の下、股の付け根などを氷枕などで冷やします。
熱があっても寒いと言っているときには冷やすとかえって気分が悪くなるので避けた方が良いでしょう。

解熱剤の使い方(2010年11月16日掲載)吉本 栄司・よしもとこどもクリニック

 

患者さんのアイコン
寒気がするときって、熱が上がる前に飲んでおけばいい誤解していました。
薬剤師のアイコン
体が熱を上げようとしているサインなので、そのタイミングは避けて、熱が上がりきってからがおすすめです。

 

熱の上がり始め・上がりきった後:どちらのタイミングがより効果的?

熱の上がり始め(寒気がある時)は、体が熱を上げようとしているため、解熱剤を飲むのは避けるのがおすすめです。

熱が上がりきって、寒気が治まり、体が熱いと感じるようになった時が、解熱剤の効果がより期待できるタイミングとされています。

 

3. 子どもに解熱剤を飲ませるタイミングと注意点:大人との違いを理解する!

子どもに解熱剤を与える保護者のイラスト

お子さんの発熱は心配ですよね。

大人とは違う注意点があるので、しっかり確認しましょう。

 

子どもに適した解熱剤の選び方と適切な量を見極めるコツ

子どもの解熱剤は、年齢や体重に合ったもの、そして正しい量を選ぶことがとっても重要です。

自己判断せずに、必ず薬剤師や医師の指示に従い、薬の箱や説明書をよく確認してください。

 

解熱剤の使用は1日2~3回にとどめ、4~5カ月未満の乳児には一般的には使いません。
解熱剤としては小児科ではアセトアミノフェンを最もよく使います。
インフルエンザ、水痘に対しては、望ましくない解熱剤がありますので注意が必要です。

解熱剤の使い方(2010年11月16日掲載)吉本 栄司・よしもとこどもクリニック

 

熱性けいれんの既往がある場合の解熱剤使用の注意点

以前に「熱性けいれん」を起こしたことがあるお子さんの場合は、医師から特別な指示があるはずです。

自己判断せずに、必ずその指示に従って解熱剤を使用してください。

解熱剤は熱性けいれんを予防する効果はありません

 

解熱剤だけに頼らない!子どもの発熱時の家庭でのケア方法

解熱剤を使うだけでなく、水分をこまめに与える、薄着にする、体を冷やす(脇の下や首の付け根、足の付け根など)といった家庭でのケアも、お子さんの回復を助けるためにとても大切ですよ。

 

患者さんのアイコン
子どもが熱を出すと、本当に慌ててしまって。
大人と同じでいいのか迷います。
薬剤師のアイコン
お子さんの場合は特に慎重な判断が必要です。
大人の薬とは違う点も多いので、一緒に見ていきましょう。

 

4. 自分に合った解熱剤の選び方:主要成分と特徴を比較しよう!

解熱剤の成分表のイラスト

市販の解熱剤にも色々な種類があります。

それぞれの特徴を知って、自分に合ったものを選びましょう。

 

主な解熱剤の成分(アセトアミノフェン、イブプロフェンなど)と作用の違い

  • アセトアミノフェン: 比較的副作用が少なく、小さなお子さんや妊娠中・授乳中の方にも比較的安全とされています。

使用前には医師または薬剤師に相談してください。

胃への負担も少ないのが特徴です。

 

  • イブプロフェン、ロキソプロフェン: アセトアミノフェンよりも、熱や痛みを抑える力が強いとされています。

ただし、胃が荒れやすいなどの副作用に注意が必要です。

 

市販薬と病院で処方される薬:それぞれのメリット・デメリット

市販薬は薬局やドラッグストアで手軽に買えますが、種類や成分の量に限りがあります。

病院で処方される薬は、医師があなたの症状や体質に合わせて選んでくれるため、より効果的で安全な場合が多いです。

症状がひどい時や、市販薬で良くならない時は、迷わず病院を受診しましょう。

 

持病や服用中の薬がある場合の解熱剤選びの注意点

腎臓や肝臓に病気がある方や、他の薬を飲んでいる方は、解熱剤を使う前に必ず薬剤師や医師に相談してください。

薬の飲み合わせが悪かったり、体に負担がかかったりする可能性があります。

特に、血液をサラサラにする薬(ワーファリンなど)を飲んでいる方は、注意が必要です。

 

5. 解熱剤を使う前に知っておきたい!効果的な使い方と注意点Q&A

質問と回答のイラスト

患者さんのアイコン
いろいろと勉強になりました。
他に気を付けることはありますか。
薬剤師のアイコン
はい、よくある疑問や、特に注意してほしい点がありますので、続けて確認していきましょう。

解熱剤を飲んでも熱が下がらない時はどうすればいい?

解熱剤を飲んでも熱が下がらない、または一時的に下がってもすぐにまた上がってしまう場合は、病気が重いサインかもしれません。

自己判断せずに、早めに医療機関を受診してくださいね。

 

決められた服用間隔や量を守ることの重要性とその理由

解熱剤の薬の説明書には、「〇時間以上あけてください」や「1日に〇回まで」といった飲む量や時間の間隔が書かれています。

これを守らないと、薬の成分が体にたまってしまい、思わぬ副作用が出てしまう危険性があります。

肝臓に負担がかかるなど、体の健康を損ねる可能性もあるので、必ず用法・用量を守りましょう。

 

他の薬との飲み合わせで特に注意すべきこと

風邪薬やアレルギーの薬など、市販の他の薬にも解熱鎮痛成分が入っていることがあります。

知らずに複数の薬を飲むと、成分が重なってしまい、副作用のリスクが高まります

もし他に薬を飲んでいる場合は、購入時や飲む前に、必ず薬剤師に相談してくださいね。

 

解熱剤を飲んでもすぐに医療機関を受診すべきケース

以下のような症状が出たら、解熱剤を飲んでいるかどうかにかかわらず、すぐに病院を受診しましょう。

  • 息をするのが苦しそう、ゼーゼーと音がする
  • 意識がはっきりしない、声をかけても反応が鈍い
  • 顔色がひどく悪い、唇が紫色になっている
  • 水分が全く摂れない
  • けいれんを起こした
  • 体に発疹(ぶつぶつ)が出ている
  • 症状がだんだん悪くなっている

子どもは急に高熱を出すことが多く、特に乳幼児のお子さんを持つ親御さんは高熱が出ると心配して慌てて救急外来を受診することもよくありますが、熱の高さだけではなく全体的な様子を十分観察することが肝要です。

解熱剤の使い方(2010年11月16日掲載)吉本 栄司・よしもとこどもクリニック

 

まとめ:解熱剤を正しく使いこなして、つらい発熱を乗り切りましょう!

解熱剤は、熱によるつらい症状を和らげ、体を休めるための大切な味方です。

しかし、使い方を間違えると副作用のリスクもあります。

今回解説した「ベストなタイミング」や「注意点」を参考にして、ご自身の体調に合わせて正しく解熱剤を使用し、つらい発熱を乗り切りましょう。

もし迷ったり不安なことがあれば、いつでもお近くの薬剤師や医師に相談してくださいね。

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