

【記事監修】 現役薬剤師(現場経験15年以上)
- ✔ 監修者:当サイト提携薬剤師(薬剤師免許取得済)
- ✔ 15年以上にわたり、累計10万枚以上の処方箋を扱った豊富な臨床経験。
- ✔ 大学病院門前薬局での高度な専門処方(がん治療・難病薬)対応実績あり。
- ✔ 地域薬局・ドラッグストアでの一般の方への服薬指導・健康相談実績多数。
- ✔ 本記事は、公的データ(厚生労働省等)に基づき、監修者が内容の正確性と安全性を確認・保証しています。
「胃がもたれるから胃薬を飲んだけど、なんだか胸焼けもしてきた…。」
こんなとき、手元にある別の胃薬をもう1種類飲んでも大丈夫?と迷った経験はありませんか?
結論から言うと、市販の胃薬を自己判断で2種類同時に飲むことは、原則として避けるべき危険な行為です。
胃薬を2種類飲むのは危険?薬剤師が解説する併用リスクと安全な飲み方

市販薬(OTC医薬品)は手軽に購入できますが、自己判断で2種類以上を併用するのは基本的に避けるべきです。
病院で医師が処方する薬の場合は、治療のために胃薬を2種類以上併用することがありますが、これは医師が体質や病状を考慮して、成分の組み合わせを厳密に管理しているため安全です。
しかし、市販薬を自己判断で組み合わせると、以下のような大きなリスクが生じます。
リスク①|胃薬成分の重複による副作用リスクを徹底解説
- 異なる商品名の胃薬でも、実は同じ有効成分が含まれていることは非常によくあります。
- 成分が重複すると、薬の効果が過剰になり、例えば胃酸が極端に減りすぎたり、腎臓などの臓器に負担がかかったりして、重い副作用のリスクが格段に高まります。
リスク②|副作用の原因が特定しづらくなる危険性
- もし体調不良や副作用が出た際に、どちらの薬(または成分)が原因なのか判別が難しくなり、適切な対処が遅れる可能性があります。
リスク③|胃薬と他の薬の飲み合わせが悪く効果を下げるケース
- 胃薬の中には、胃酸を中和する特定の成分が含まれており、これを他の薬(例:一部の抗生物質や骨粗しょう症の薬など)と同時に飲むと、他の薬の吸収が妨げられてしまい、本来の治療効果が弱まってしまうことがあります。
Q&A形式で疑問を解消!【現場の薬剤師YSのアドバイス】
Q. 市販薬の添付文書に「併用注意」と書いていなかったら、2種類飲んでも大丈夫ですか?
A. 添付文書に明記されていない場合でも、成分が重複するリスクはあります。市販薬の添付文書は記載スペースが限られているため、全ての相互作用を網羅しきれていない可能性もあります。安全を最優先し、特に胃薬のように成分が似通っている可能性のあるものは、必ず薬剤師に確認してください。
薬剤師が警告|胃薬の重複成分による副作用と注意点まとめ

「この胃薬は胃もたれ用、こっちは胸焼け用だから大丈夫」と考えてしまう方もいますが、パッケージの効能が違っても、胃薬の根本の成分は似ていることがあるため注意が必要です。
市販胃薬に含まれる3大成分と重複リスクの注意点
市販薬によく含まれる代表的な成分を、分かりやすい働きで分類します。
- 制酸剤:胃酸を中和して和らげる薬。(例:胃酸を吸着する成分や、マグネシウム・アルミニウムを含む成分など)
- 胃粘膜保護剤:荒れた胃の粘膜を修復・保護する薬。(例:胃の表面を覆う成分など)
- 胃酸分泌抑制剤:胃酸が作られるのを根本的に抑える薬。(例:H2ブロッカーなど。市販薬としては種類が限られています)
【薬剤師からの現場の知見】
私の薬局での経験では、特に制酸剤の重複使用によるトラブルを避けるよう、何度も注意喚起をしています。
例えば、「腎臓に持病がある方」が、マグネシウムやアルミニウムを多く含む制酸剤を飲もうとしたケースです。成分の重複は、腎臓の機能が低下している方にとって、**高マグネシウム血症**などの重篤な副作用リスクを一気に高めてしまうため、特に注意が必要です。
また、「効かないからもう一種類」と、成分が似ている胃薬を追加で購入しようとする例も多く、これが成分重複につながる典型的なパターンです。
Q&A形式で疑問を解消!【現場の薬剤師YSのアドバイス】
Q. 胃薬に含まれる「マグネシウム」や「アルミニウム」は、サプリメントと同じで安全ではないのですか?
A. 胃薬に含まれるこれらの成分は、胃酸を中和する働きがありますが、特に腎臓の機能が低下している方の場合、体内に蓄積し重篤な健康被害(高マグネシウム血症など)を引き起こす可能性があります。腎機能が正常な方でも、過剰摂取は避けるべきです。ご自身の健康状態や持病について、専門家(医師・薬剤師)に必ず相談してから服用してください。
※参考:厚生労働省 eJIM | 統合医療(医薬品との相互作用に関する公的情報も参照)
胃薬が効かない原因と対処法|薬剤師が教える正しい判断と相談の目安

「胃薬を飲んでいるのに症状が良くならない」という不安はよく分かります。しかし、自己判断で別の薬を追加するのは絶対にやめてください。
Q1|胃薬が効かないときに確認すべきポイントと対処法
A. 服用方法を再確認し、専門家へ相談してください。
- 用法・用量の厳守:「効かないから増やす」は厳禁です。まずはパッケージに記載された服用間隔と量を必ず守っているか確認してください。
- 症状と薬の再確認:胃もたれ、胸焼け、痛みなど、症状によって効く成分が異なります。あなたの症状に合った薬を選べていますか?
- 薬剤師・登録販売者への相談:飲み方を変える前に、「今飲んでいる薬の名前」と「具体的な症状」を伝えて、薬局やドラッグストアの専門家(薬剤師・登録販売者)にアドバイスを求めましょう。
Q2|処方薬と市販の胃薬は併用できる?安全な飲み合わせの判断基準
A. 原則として、医師・薬剤師に確認してから飲んでください。
処方薬と市販薬の成分が重複したり、相互作用を起こしたりする可能性があります。特に、胃酸を抑える作用を持つ胃薬は、他の薬の吸収を妨げることがあります。
必ずかかりつけの医師や薬局の薬剤師に、「〇〇という市販の胃薬を飲みたい」と相談し、飲み合わせ(相互作用)の確認をしてください。
Q&A形式で疑問を解消!【現場の薬剤師YSのアドバイス】
Q. 胃薬を飲んでも症状が良くならない場合、何日くらいで病院に行く目安ですか?
A. 市販薬の添付文書には、一般的に「3日~1週間程度服用しても症状が改善しない場合は、服用を中止し、医師、薬剤師又は登録販売者に相談してください」と記載されていることが多いです。自己判断を続けないことが重要です。特に痛みが強い、体重が減った、黒い便が出たなど、いつもと違う症状がある場合は、すぐに医療機関を受診してください。
※参考:厚生労働省 | 医薬品等の副作用・不具合等報告(医薬品の適正使用に関する情報も参照)
まとめ|胃薬の正しい選び方と安全に服用するための4つのポイント

胃薬を自己判断で2種類同時に飲むことは、原則としておすすめできません。成分の重複や相互作用によって、副作用リスクが高まるからです。
安全なセルフメディケーションを実践するためのチェックリスト
- 症状に合った成分か確認する:胃もたれ、胸焼け、痛みなど、症状によって効く成分が異なります。パッケージの効能・効果をよく確認しましょう。
- 用法・用量を厳守する:「効かないから増やす」は厳禁です。決められた服用間隔と量を必ず守りましょう。
- 迷ったら必ず専門家に相談する:飲み合わせや副作用に不安がある場合は、「購入前のレジ横で」、または「かかりつけの薬局」で、必ず薬剤師や登録販売者に相談してください。専門家を頼ることが、安全への最短ルートです。
- 症状が続く場合は医療機関を受診:飲み方を工夫しても症状が3日~1週間程度続く場合は、自己判断を中断し、必ず医療機関を受診してください。胃の不調の裏に、別の病気が隠れている可能性もあります。
【重要:免責事項とお願い】
この記事は薬剤師の知見に基づき、一般的な情報提供を目的として作成されています。
特定の症状や疾患の診断・治療を意図したものではありません。
個別の健康状態、薬剤の増量・減量、治療法については、必ず服用されている薬の主治医または薬剤師にご相談ください。

