
記事監修
薬剤師 YS
薬剤師歴10年以上の経験を持つ現役薬剤師です。
ドラッグストア、調剤薬局、管理薬剤師として幅広い薬の知識と実務経験を持っています。
生活に役立つ医療情報を専門家の視点から分かりやすく解説します。
薬を飲むとき、皆さんはどんな飲み物を選んでいますか?
「いつも水で飲んでいるから大丈夫」という方もいれば、「お茶やジュースでも問題ないかな?」と漠然と気にされている方もいるかもしれません。
実は、薬と飲み物の組み合わせによっては、薬の効き方に大きく影響を与えることがありま
す。
たとえば、薬の吸収が遅くなったり、期待される効果が得られなかったり、あるいは思わぬ副作用が強く出てしまったりするケースもあるのです。
この記事では、薬剤師の視点から、薬と一緒に避けたほうがいい飲み物とその具体的な理由、さらに安心して薬を服用するための正しい飲み方について、わかりやすく解説します。
皆さんの大切な体を守るためにも、ぜひ最後までご覧ください。
薬と一緒に飲んではいけない飲み物とは?
薬は、コップ1杯程度の水かぬるま湯で飲むのが基本です。
これ以外の飲み物で薬を飲むと、薬の吸収が悪くなったり、効き目が強くなりすぎたり、あるいは思わぬ副作用が出ることがあるので注意が必要です。
あなたは大丈夫?間違いやすい、誤解しやすい 薬との付き合い方 | 厚生労働省
「薬 飲み物 NG」「薬 飲み方 注意」といったキーワードで検索し、この記事にたどり着いた方も多いのではないでしょうか。
薬を服用する際、水やぬるま湯で飲むのが基本中の基本です。
これは、薬が体に吸収され、効果を最大限に発揮するために最も適した飲み方だからです。
しかし、忙しいときや手元に水がないときに、つい他の飲み物で飲んでしまう、という経験はありませんか?
薬の種類によっては、特定の飲み物と一緒に摂取すると、薬の吸収や代謝に影響を与え、期待される効果が得られなかったり、逆に副作用が強く出てしまったりすることがあります。
薬と相性が悪い飲み物がある理由とは?
薬と飲み物の相性が悪い主な理由は、それぞれの成分が体内で**相互作用**を起こすからです。
「相互作用(そうごさよう)」とは、薬と薬、あるいは薬と食べ物や飲み物が体の中でお互いに影響を与え合うことを指します。
例えば、飲み物に含まれる特定の成分が、薬の吸収を阻害したり、薬を分解する酵素の働きを妨げたりすることがあります。
これにより、薬の効き目が変わってしまったり、体に予期せぬ影響が出たりするのです。
体にどんな影響があるのか?吸収・副作用に関係する?
相互作用によって体に現れる影響は多岐にわたります。
- 薬の吸収が阻害される:薬が腸から血液中に十分吸収されず、効果が弱まる可能性があります。
- 薬の分解・代謝が遅れる:薬が体内に長く留まりすぎ、効果が過剰に出たり、副作用が強く現れたりする可能性があります。
- 薬の分解・代謝が促進される:薬が体内で速やかに分解され、効果が十分に発揮されない可能性があります。
- 特定の副作用が増強される:薬単独では起こりにくい副作用が、飲み物との組み合わせで発現したり、悪化したりすることがあります。

飲み物でそんなに変わるなんて衝撃です…

意外と知られていませんが、薬の効果をしっかり得るためにも、正しい飲み合わせはとても大切なんですよ。
薬を飲むときに避けるべき飲み物7選【一覧で解説】
グレープフルーツジュースには、一部の薬の分解を妨げる成分が含まれており、薬の効果が強く出すぎたり、副作用が現れやすくなったりすることがあります。
新しい薬が処方された際は、薬剤師にご確認ください。
Q2 グレープフルーツジュースを避けるべきくすりがあるそうですが、どんなくすりですか。
| 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構
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ここからは、薬と飲み物の組み合わせで特に気をつけてほしい**7つの飲み物**について、薬剤師がわかりやすくお話ししますね。
① お茶(特に緑茶・ウーロン茶)
お茶に含まれる「タンニン」という成分は、薬の成分と結合して薬の吸収を阻害することがあります。
そのため、鉄剤(貧血の薬)や精神安定剤などと一緒に飲むのは注意が必要です。
また、緑茶に含まれるカテキンは、一部の降圧剤や脂質異常症の薬の効果に影響を与える可能性も指摘されています。
② 牛乳
牛乳に含まれる「カルシウムイオン」は、抗生物質や骨粗しょう症治療薬と結合し、薬の吸収を弱めてしまうことがあります。
薬の効果を最大限に得るためにも、薬を飲む際には牛乳は避け、時間をずらして摂取するようにしましょう。
③ コーヒー
コーヒーに含まれる「カフェイン」は、集中力を高める作用がありますが、薬と一緒に飲むと副作用が強く出る可能性があります。
特に風邪薬や気管支拡張剤(喘息の薬など)に含まれるエフェドリンなどと合わせると、動悸や不眠、手の震えといった症状が悪化することがあります。
また、一部の鎮痛剤や胃薬にもカフェインが含まれている場合があるので、カフェインの過剰摂取にも注意が必要です。
④ 炭酸飲料(コーラなど)
炭酸飲料は酸性度が高いため、一部の薬のコーティングを溶かしてしまうことがあります。
これにより、本来腸で吸収されるべき薬が胃で溶けてしまったり、胃の粘膜を刺激して胃の不調を引き起こす可能性も考えられます。
薬の溶け方や吸収に影響が出るため、避けるのが賢明です。
⑤ グレープフルーツジュース
これは比較的有名ですが、グレープフルーツジュースに含まれる特定の成分が、薬を分解する体内の酵素(CYP3A4)の働きを阻害してしまいます。
特に高血圧治療薬(カルシウム拮抗薬)や脂質異常症治療薬(スタチン系)などは、血液中の薬の濃度が必要以上に高くなり、副作用が強く現れる可能性があります。
この影響は数日間続くこともあるため、これらの薬を服用中は摂取を控えるべきです。必ず医師や薬剤師に確認しましょう。
⑥ アルコール
アルコールは薬と同じく肝臓で分解されることが多いため、薬との併用は肝臓に大きな負担をかけます。
また、薬の効き方が予測不能になったり、思わぬ健康被害につながることもあります。特に睡眠薬、精神安定剤、一部の風邪薬などと一緒に摂取すると、眠気やふらつき、意識障害、肝機能障害といった副作用が強く現れるため、**薬を飲んでいる間はできる限りアルコール摂取を控えましょう。**
⑦ スポーツドリンク・栄養ドリンク
スポーツドリンクや栄養ドリンクは健康に良いイメージがありますが、電解質、カフェイン、糖分などが多く含まれています。
これらが薬と相互作用を起こし、薬の効果に影響を与えたり、体調を悪化させたりすることがあります。特に腎臓や心臓に持病がある方は、電解質の過剰摂取に注意が必要です。
また、栄養ドリンクに含まれるカフェインが、薬の副作用(動悸、不眠など)を強めることもあるため、安易な飲み合わせは避けましょう。


それぞれの理由を詳しく見ていきましょう。
薬と飲み物の組み合わせで注意すべきこと
薬と飲み物の組み合わせによっては、薬の吸収速度や量、あるいは代謝経路に影響を与え、薬の血中濃度を変化させることがあります。
これは、薬の治療効果の低下や副作用の発現につながる可能性があります。
薬と食べ物の相互作用 | 治験コンシェル
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薬と飲み物の関係で、薬の効き方に影響が出るパターンは大きく分けて3つあります。
薬の吸収を邪魔する場合
飲み物に含まれる成分が薬と結合したり、胃や腸の環境を変えたりすることで、薬が体内にうまく吸収されなくなることがあります。
そうなると、血液中の薬の量が足りなくなり、期待していた治療効果が得られないかもしれません。
薬の作用が強くなりすぎることも
特定の飲み物が、薬を体内で分解する酵素の働きを阻害してしまうことがあります。
これにより、薬がなかなか体から排出されず、血液中の薬の濃度が高くなりすぎて、効果が過剰に出たり、通常は起こりにくい副作用が現れたりするリスクが高まります。
薬の効果が弱まることもある
逆に、飲み物が薬の代謝を促進したり、排出を促したりして、薬が体内に長くとどまらない場合もあります。
このときは、薬の効き目が十分に発揮されず、効果が弱まってしまうことがあるんです。

もしかしたら今まで効果が薄かった薬もあったのかもって思っちゃいました。

だからこそ、正しい飲み方を知ることが皆さんの健康を守る第一歩になりますよ。
薬を飲むときに適した飲み物は?【基本は水orぬるま湯】
薬はジュースではなく水か、ぬるま湯で飲みましょう。
また、薬を飲むときの水の量は、コップ1杯が目安です。
少なすぎると、薬がのどや食道に張りついて炎症を起こす可能性があります。
あなたは大丈夫?間違いやすい、誤解しやすい 薬との付き合い方 | 厚生労働省
「薬 飲み物 ベスト」「薬 水 ぬるま湯」と調べている方、お待たせしました。
結局のところ、薬を飲むときに最適な飲み物は、水またはぬるま湯です。
その理由はシンプルです。
- 薬の成分に影響を与えない:水やぬるま湯は、薬の有効成分と化学的に反応したり、その吸収を妨げたりすることがありません。最も安全な選択肢です。
- 薬をスムーズに運ぶ:コップ1杯程度の十分な量の水で飲むことで、薬が食道に留まらず、スムーズに胃まで運ばれ、速やかに溶けて吸収されます。これにより、薬が喉や食道に貼り付いて炎症を起こすリスクも軽減されます。
- 胃への負担を軽減:水で飲むことで、薬が胃壁に直接触れる時間を減らし、胃への刺激や負担を軽減します。
特に指定がない限り、必ず多めの水かぬるま湯で薬を飲むように心がけましょう。

もしかしたら今まで効果が薄かった薬もあったのかもって思っちゃいました。

だからこそ、正しい飲み方を知ることが皆さんの健康を守る第一歩になりますよ。
薬の飲み方で困ったら?医師や薬剤師などに相談してください。
薬の飲み方や飲み合わせについて不安な点があれば、自己判断せずに、必ず医師や薬剤師に相談してください。
専門家は、個々の患者さんの状態や服用中の薬に合わせて、適切なアドバイスを提供することができます。
薬と健康の週間 | 公益社団法人 日本薬剤師会
「薬 飲み方 相談」「薬剤師 相談 飲み合わせ」といった検索で、この記事にたどり着いた方もいらっしゃるでしょう。
薬の飲み方について少しでも疑問や不安を感じたら、**自己判断せずに、必ず薬剤師や医師に相談してください。**
例えば、以下のような場合は積極的に相談しましょう。
- 新しく処方された薬があるとき
- 市販薬と処方薬を併用したいとき
- 普段飲んでいる飲み物との相性が心配なとき
- 過去に薬でアレルギーや副作用が出たことがあるとき
- 腎臓や肝臓に持病があるとき
など、どんな些細なことでも構いません。
薬剤師は、皆さんの服用している薬の種類や、体質、食生活などを考慮して、最適なアドバイスを提供できます。
お薬手帳を持参して相談すれば、より具体的な情報に基づいたアドバイスが得られますよ。

こんな細かいことでも薬剤師さんに相談していいんですね。

皆さんの疑問や不安を解消するのが私たちの役目ですから、どんなことでもお気軽にご相談くださいね。
まとめ|薬と飲み物の相性を理解して、正しく服用しよう
- 薬は基本的に**コップ1杯の水かぬるま湯**で飲むことが大切です。
- **お茶(特に緑茶・ウーロン茶)、牛乳、コーヒー、炭酸飲料、グレープフルーツジュース、アルコール、スポーツドリンク・栄養ドリンク**は薬との相性に注意が必要です。
- 飲み物の成分が薬の吸収や代謝に影響を与え、効果が弱まったり副作用が強まることがあります。
- 薬の飲み合わせに不安があれば、**自己判断せず医師や薬剤師に相談**しましょう。
- 正しい飲み方を守ることで、薬の効果を最大限に活かし、安全に服用できます。