

【記事監修】 現役薬剤師(現場経験15年以上)
- ✅ 監修者:当サイト提携薬剤師
- ✅ 専門資格:認定薬剤師、認定実務実習指導薬剤師
- ✔ 15年以上にわたり、累計10万枚以上の処方箋を扱った豊富な臨床経験。
- ✔ 大学病院門前薬局での高度な専門処方(がん治療・難病薬)対応実績あり。
- ✔ 地域薬局・ドラッグストアでの一般の方への服薬指導・健康相談実績多数。
- ✔ 本記事は、公的データ(厚生労働省等)に基づき、監修者が内容の正確性と安全性を確認しています。
「ピルを飲み始めてから、彼へのときめきが減った気がする…」「気持ちが前と違うのは薬のせい?」と不安になっていませんか。
低用量ピルは避妊だけでなく、生理痛やPMSの改善にも役立つ一方で、「心」への影響が気になる方も少なくありません。
本記事では、国内ガイドラインなどの公的情報を踏まえつつ、薬剤師の視点からピルと恋愛感情・気分の変化の関係をやさしく整理し、「不安なときにどう動けばよいか」まで分かる形で解説します。
ピルで恋愛感情がなくなるのは本当?結論と現時点の医学的知見

結論として、ピルの服用によって恋愛感情そのものが「消えてしまう」と明確に示した医学的根拠はありません。
一方で、ホルモンバランスが変化することで、性欲や気分の変化を自覚する人がいることも報告されています。
ホルモン環境の変化と感情・性欲への影響
低用量ピル(OC・LEP)は、エストロゲンとプロゲスチンを含み、排卵を抑えることで避妊効果を発揮します。
同時に、ホルモン量を「周期的な大きな波」ではなく、比較的一定の状態に保つ作用があります。
低用量経口避妊薬(OC)の服用は排卵を抑制し、女性ホルモンの変動を安定させます。このホルモン環境の変化に伴い、一部で性欲の変化や気分の変調を自覚する場合があることが知られています。
しかし、これらの変化には身体的要因だけでなく、パートナーとの関係性や心理的要因、生活環境など、多様な要素が関与しているため、個人差が非常に大きいのが特徴です。
【解説】
排卵期にはエストロゲンが急上昇し、「気分が高揚しやすい」時期があります。
ピルでこの波が抑えられると、以前のような劇的な気分のアップダウンが減り、「前よりドキドキしない」と感じる場合があります。
ただし、これは「愛情がなくなった」というよりも、ホルモンに振り回されにくい、落ち着いた状態になった結果と考えることもできます。
Q&A形式で疑問を解消!【現場の薬剤師からのアドバイス】
Q. ピルを飲み始めてから、彼へのときめきが減った気がします。
薬のせいでしょうか?
A. ピルによってホルモンの波が安定すると、排卵期特有の「一時的な高揚感」が穏やかになることがあります。
その変化を「恋愛感情が弱くなった」と感じる方もいますが、必ずしも愛情が消えたわけではありません。
一方で、「気分の落ち込みが強い」「何をしても楽しくない」など、日常生活に支障が出る場合は、ピルの種類が合っていない可能性もあります。
数週間~数か月様子を見てもつらさが続くときは、自己判断せず、処方医やかかりつけの婦人科・心療内科に早めに相談してください。
ピル服用で起こりうる「気持ちの変化」とその背景

ピルが心や感情にどのように作用しうるかは、人によって大きく異なります。
同じ薬でも、「気持ちが楽になった」と感じる人もいれば、「少しやる気が出にくい」と感じる人もいます。
PMS・PMDD改善など、精神面でのメリットもある
低用量ピルは、月経前症候群(PMS)や月経前不快気分障害(PMDD)の症状を軽減し、生活の質を高める目的でも使われます。
イライラや抑うつ感、気分の不安定さが改善することで、パートナーとの関係が安定しやすくなるケースもあります。
【解説】
月経前になると「彼に当たってしまう」「気分が不安定で自分でもつらい」という方では、ピルによりホルモン変動がなだらかになり、感情の波が穏やかになることが期待できます。
その結果、「前より落ち着いて話し合えるようになった」「喧嘩が減った」と感じる人もいます。
Q&A形式で疑問を解消!【現場の薬剤師からのアドバイス】
Q. ピルでPMSが楽になりましたが、「感情が平坦になった」ような気もします。
続けても大丈夫?
A. PMSが改善して「怒りやすさ」が減る一方で、「前ほど感情の上下がない」と感じる方はいます。
日常生活に支障がなければ、ホルモンバランスが安定した結果とも考えられます。
ただし、「何をしても楽しくない」「涙が止まらない」「仕事や家事が手につかない」といった抑うつ症状が続く場合は、別の問題(うつ病など)が隠れていることもあります。
必ず医師に相談し、必要に応じてピルの変更・中止や精神科的なサポートを検討してもらいましょう。
ピル服用中に必ず知っておきたい重大副作用「ACHES」と対応

気持ちの変化と同じくらい、あるいはそれ以上に重要なのが、身体面の重大な副作用です。
特に血栓症(血のかたまりが血管に詰まる病気)は、早期に気づいて対応することがとても大切です。
ACHES:血栓症など重大なサインを示す5つの頭文字
ピル服用中に、次の「ACHES」と呼ばれる症状が現れた場合は、重大な副作用のサインである可能性があります。
- A(Abdominal pain): 今までにない激しい腹痛
- C(Chest pain): 強い胸の痛み、押しつぶされるような痛み、突然の息切れ
- H(Headache): 片側の激しい頭痛、突然の強い頭痛、いつもと明らかに違う頭痛
- E(Eye problems): 視界がかすむ、二重に見える、視野の一部が見えない
- S(Severe leg pain): ふくらはぎの強い痛みや腫れ、赤み、熱感
研究報告によると、経口エストロゲン(飲み薬)は静脈血栓塞栓症のリスクを増大させることが示されています。
特に服薬期間の最初の1年は、1年以上経過した後に比べてリスクが高い(オッズ比が約2倍)ことが報告されており、服用初期は特に注意が必要です。
【解説】
特に35歳以上の喫煙者、高血圧・肥満・糖尿病・脂質異常症がある方では、血栓症のリスクが高まりやすいとされています。
これらの持病がある場合、ピルが適しているかどうかは医師が慎重に判断する必要があります。
【薬剤師からのお願い】
上記のACHESにあてはまる症状が一つでもあれば、その日の服用を中止し、速やかに医療機関(必要に応じて救急外来)を受診してください。
また、「なんとなく不安」「いつもと違う」と感じる程度でも、お薬手帳を持参して受診することで、原因の早期発見につながります。
自己判断で「様子を見る」だけにせず、専門家の評価を受けるようにしましょう。
ピルにはどんなメリットがある?感情面だけでなく全体像を知る

ピルはリスクだけが語られがちですが、適切に使うことで得られるメリットも多くあります。
恋愛感情の変化だけに注目するのではなく、「身体と心のトータルケア」という視点で捉えることが大切です。
避妊効果に加え、月経トラブルの改善や疾患リスク低下も
一般的に、低用量ピル・LEP製剤には次のような効果が期待できます。
- 高い避妊効果
- 月経痛(月経困難症)の軽減
- 月経量の減少(過多月経の改善)
- 月経周期の安定化
- 子宮内膜症の症状緩和
- 子宮体がん・卵巣がんの発症リスクを下げる効果が期待される、という報告
【解説】
ピルは「恋愛感情を弱める薬」ではなく、「生理や女性ホルモンにまつわる様々な悩みをコントロールするための選択肢」の一つです。
メリットとリスクを天秤にかけ、あなたのライフステージや体質に合っているかを、医師と一緒に考えることが重要です。
Q&A形式で疑問を解消!【現場の薬剤師からのアドバイス】
Q. メリットも多いと聞きますが、リスクが不安で一歩踏み出せません。
A. 不安を抱えたまま服用を始めると、ちょっとした体調変化にも「大丈夫かな」と心配になりやすくなります。
まずは婦人科で、「避妊」「生理痛」「PMS」など、あなたが改善したいポイントを紙に書き出し、医師と一緒にメリット・デメリットを整理してみましょう。
薬局では、お薬手帳を見ながら他のお薬との飲み合わせや、副作用の相談もできます。
「とりあえずネットで調べる」のではなく、対面で話すことで安心材料が増えることが多いですよ。
恋愛感情の変化を感じたときの具体的なステップ
「どうも前と違う」と感じたとき、感情を押し殺す必要はありません。
冷静に状況を整理し、必要に応じて薬や環境を調整していくことが大切です。
まずは「いつから・どのように」変わったのかを見える化する
- ピルを飲み始めてからの期間(何ヶ月目か)
- 気持ちの変化の内容(ときめきが減った/イライラが増えた/悲しくなりやすい 等)
- 仕事や睡眠など、生活環境の変化の有無
- 他に飲み始めた薬・サプリの有無
これらをメモにしておくと、受診時に医師が原因を整理しやすくなります。
また、パートナーに正直な気持ちを伝え、「薬の影響かもしれないから、しばらく様子を一緒に見てほしい」と共有することも、関係を守るうえで大切です。
受診・相談のタイミングとお薬手帳の活用
次のような場合は、婦人科やかかりつけ医、必要に応じて心療内科への相談を検討してください。
- 3か月以上服用を続けても、気分の落ち込みがつらい
- 恋愛感情だけでなく、「何事にも興味が持てない」「朝起きられない」などの症状がある
- 頭痛・胸の痛み・脚の痛みなど、ACHESに当てはまりそうな症状がある
受診の際には、お薬手帳を必ず持参し、現在飲んでいるすべての薬・サプリメントを伝えましょう。
これにより、飲み合わせや別の病気の可能性も含めて総合的に判断してもらいやすくなります。
飲み忘れの対処法についても、万が一のために確認しておきましょう。
まとめ:ホルモンとうまく付き合いながら、自分とパートナーを大切に
- 低用量ピルの服用によって、恋愛感情そのものが消えると明確に示した医学的根拠はありません。
- ホルモンバランスが安定することで、排卵期特有の高揚感が穏やかになり、「ときめきが減った」と感じる人がいることがあります。
- 一方で、PMSやPMDDが改善し、気分が安定してパートナーとの関係が良好になるケースもあります。
- 気分の落ち込みや無気力感が強く続く場合は、ピルが体質に合っていない可能性もあるため、自己判断せず医師や薬剤師に相談することが重要です。
【重要:免責事項とお願い】
この記事は認定薬剤師である監修者の知見に基づき、一般的な情報提供を目的として作成されています。
特定の症状や疾患の診断・治療を意図したものではありません。
個別の健康状態、薬剤の増量・減量、治療法については、必ず服用されている薬の主治医または薬剤師にご相談ください。
(※特に処方薬に関するアドバイスは、必ずお薬をもらった調剤薬局の薬剤師にご確認ください。)







