

【監修・運営責任者】 現役 管理薬剤師 兼 運営マネージャー
- ✅ 運営責任者:当サイト管理薬剤師(現場経験15年以上)
- ✅ 専門資格:認定薬剤師、認定実務実習指導薬剤師
- ✔ 15年以上にわたり、累計10万枚以上の処方箋を扱った豊富な臨床経験。
- ✔ 大学病院門前薬局での高度な専門処方(がん治療・難病薬)対応実績あり。
- ✔ 地域薬局・ドラッグストアでの一般の方への服薬指導・健康相談実績多数。
- ✔ 本記事は、公的データ・小児科学的知見に基づき、監修者が内容の正確性と安全性を確認しています。
✔ 「解熱剤を使うとけいれんしやすくなる」は誤解である理由
✔ 解熱剤はけいれんを予防する薬ではないという事実
✔ 熱性けいれんを起こした後に解熱剤を使ってよいタイミング
✔ ダイアップ(予防坐薬)と解熱剤の違い・併用の注意点
✔ けいれんが起きたときの対応・救急要請の目安
子どもが熱性けいれんを起こした経験があると、「次に熱が出たとき解熱剤を使ってもいいのか」「解熱剤を使うとまたけいれんするのでは」と不安になる保護者は多いです。
結論からいうと、解熱剤の使用が熱性けいれんを誘発するという医学的根拠はありません。
解熱剤は熱性けいれんを予防する効果も証明されていませんが、使うことでけいれんを起こしやすくすることもないとされています。
熱性けいれんの既往がある子どもでも、つらそうなときは通常通り解熱剤を使用して問題ありません。
熱性けいれんとは【まず知っておくべき基礎知識】
熱性けいれんは、生後6か月から5歳頃までの子どもに発熱に伴って起こるけいれんで、日本での発症率は7〜11%とされ、比較的よくみられる症状です。
多くは体温が急激に上昇するタイミングで起こり、一度熱性けいれんを起こした子どものうち、約6割から7割はその後再発しない(生涯で1回限りのことが多い)とされています。
「解熱剤でけいれんを予防できる」は誤解
【図①】解熱剤と熱性けいれんの関係の正しい理解
| よくある誤解 | 実際のところ |
|---|---|
| 解熱剤を使えばけいれんを予防できる | 予防効果は証明されていない |
| 解熱剤を使うとけいれんしやすくなる | そのような根拠はない |
| 熱性けいれんの既往児には解熱剤を使わない方がよい | 通常通り使用して問題ない |
※図①:解熱剤と熱性けいれんの関係についての正しい理解(gran-clinic.jp作成・小児科学的知見に基づく)
解熱剤は熱を下げて子どもを楽にするための薬であり、熱性けいれんの予防を目的とした薬ではありません。
熱性けいれんの予防が必要と医師が判断した場合には、解熱剤とは別に「ダイアップ」という坐薬が処方されます。
解熱剤を使うべきタイミング【体温ではなく様子で判断】
解熱剤を使うタイミングは体温の数値や決まった時間で判断するものではありません。
子どもの様子を見て、以下のような状態のときに使用を検討します。
- 高熱でぐったりして眠れなさそうなとき
- 高熱で水分が十分に取れないとき
- 高熱により強い不快感を訴えているとき
解熱剤を使用しても、一般的に体温が1℃〜1.5℃ほど一時的に下がる程度であり、過度に平熱まで下げようとする必要はありません。「熱を正常値まで下げること」が目的ではなく、「一時的に楽にすること」が目的だと理解しておくことが大切です。
👉 子どもの解熱剤は何度から使う?間隔・受診目安はこちら
熱性けいれんを起こした後、解熱剤はいつ使っていいか
けいれんが治まり、子どもの意識がはっきりしていれば、その後は通常通り解熱剤を使用して問題ないとされています。ただし以下の点に注意してください。
- けいれんが完全に治まったことを確認してから使用する
- けいれん中・けいれん直後の意識がはっきりしない状態での内服・坐薬挿入は避ける(誤嚥のリスク)
- けいれんの様子(持続時間・左右差の有無など)はできるだけメモしておき、受診時に医師へ伝える
ダイアップ(予防坐薬)と解熱剤の違い
| 項目 | 解熱剤(アセトアミノフェン等) | ダイアップ坐剤 |
|---|---|---|
| 主成分 | アセトアミノフェン | ジアゼパム(抗けいれん薬) |
| 目的 | 熱を下げて楽にする | けいれんの再発を予防する |
| 処方対象 | 発熱している子ども全般 | けいれんが長い・繰り返す等、医師が予防必要と判断した子ども |
| 使用タイミング | つらそうなとき随時 | 発熱に気づいた直後・8時間後の2回 |
※表①:解熱剤とダイアップ坐剤の違い(gran-clinic.jp作成・医療機関公開情報に基づく)
ダイアップ坐剤はけいれんの再発率を70%以上減らすとされる一方、あくまで「予防目的」であり、全ての熱性けいれん既往児に処方されるわけではありません。
過去に長いけいれん・繰り返すけいれんがあった場合など、医師が必要と判断したケースで処方されます。
**ダイアップと解熱剤(坐剤)を併用する場合、ダイアップの吸収を妨げないよう、先にダイアップを挿入してから「30分〜1時間以上」あけて解熱剤を使用するよう指示されることが一般的です。**
処方時に医師・薬剤師から説明された使用順序・間隔を必ず守ってください。
発熱時の家庭でのケア
体を冷やす
子どもが嫌がらなければ、首・脇の下・太ももの付け根など太い血管が通っている部分を冷やすことで、体感を楽にすることができます。
水分補給
発熱時は汗や呼吸によって水分が失われやすくなります。経口補水液など電解質を含む飲料での水分補給が脱水予防に役立ちます。
水分・電解質を効率よく補給できる経口補水液
体温の正確な把握
体温の数値だけで解熱剤の使用を判断するものではありませんが、経過を記録するためにも正確な体温測定は重要です。
予測式で素早く測れる電子体温計
けいれんが起きたときの対応と救急要請の目安
⚠️ 以下の場合はすぐに救急要請(119番)を検討してください:
- けいれんが5分以上続く
- けいれんが治まった後も意識が戻らない
- けいれんを繰り返す(1回の発熱で2回以上)
- 体の左右で動きに差がある
- 呼吸の異常・唇や顔色が明らかに悪い
- 初めての熱性けいれんである
けいれんが起きたときの対応
1. 安全な場所に横向きに寝かせる(嘔吐物による窒息を防ぐため)
2. 口の中に指やタオル、物を絶対に入れない(窒息や噛まれるリスクを防ぐため)
3. 服のボタン・ベルトなど体を締め付けるものを緩める
4. けいれんの様子(開始時刻・持続時間・体の動き)を可能な範囲で記録する
5. けいれんが治まり、意識がはっきり戻ったことを確認してから、急がず落ち着いて医療機関(小児科など)を受診する
【Q&A】熱性けいれんと解熱剤についてよくある質問
熱性けいれんを起こしたら、次からずっと解熱剤を使わない方がいいですか?
いいえ、その必要はありません。解熱剤の使用が熱性けいれんの原因になるという根拠はなく、通常通り子どもの状態を見て使用してかまいません。
ダイアップを使っているときに熱が出たら、解熱剤も一緒に使っていいですか?
医師の指示に従ってください。多くの場合は併用可能ですが、挿入する順序や間隔について個別の指示が出ることがあります。処方時の説明書・お薬手帳を確認し、不明な点は薬剤師に相談してください。
熱性けいれんは何歳まで注意が必要ですか?
一般的に生後6か月〜5歳頃までに多くみられますが、個人差があります。何歳まで注意が必要かは、けいれんの既往・家族歴などによって異なるため、かかりつけの小児科医に確認することをおすすめします。
まとめ|子どもの熱性けいれんと解熱剤の関係
- 解熱剤の使用がけいれんを誘発するという根拠はない
- 解熱剤には熱性けいれんの予防効果も証明されていない
- 解熱剤は体温の数値だけで判断せず、子どもの「つらそうな様子」に合わせて使用する
- けいれん中・直後の意識がはっきりしない間は薬を使わない
- ダイアップは解熱剤とは異なる「予防目的」の薬。医師の指示のもと使用する
- 5分以上続く・繰り返す・初めての場合はすぐに救急要請を検討
【重要:免責事項とお願い】
この記事は認定薬剤師である監修者の知見に基づき、一般的な情報提供を目的として作成されています。
特定の症状や疾患の診断・治療を意図したものではありません。
個別の健康状態、薬剤の増量・減量、治療法については、必ず服用されている薬の主治医または薬剤師にご相談ください。
(※特に処方薬に関するアドバイスは、必ずお薬をもらった調剤薬局の薬剤師にご確認ください。)






