

【記事監修】 現役薬剤師(現場経験15年以上)
- ✔ 監修者:当サイト提携薬剤師(薬剤師免許取得済)
- ✔ 15年以上にわたり、累計10万枚以上の処方箋を扱った豊富な臨床経験。
- ✔ 大学病院門前薬局での高度な専門処方(がん治療・難病薬)対応実績あり。
- ✔ 地域薬局・ドラッグストアでの一般の方への服薬指導・健康相談実績多数。
- ✔ 本記事は、公的データ(厚生労働省等)に基づき、監修者が内容の正確性と安全性を確認・保証しています。
薬を飲むとき、皆さんはどんな飲み物を選んでいますか?
「いつも水で飲んでいるから大丈夫」という方もいれば、「お茶やジュースでも問題ないかな?」と漠然と気にされている方もいるかもしれません。
実は、薬と飲み物の組み合わせによっては、薬の効き方に大きく影響を与えてしまうことがあります。
たとえば、薬の吸収が遅くなったり、期待される効果が得られなかったり、あるいは思わぬ副作用が強く出てしまったりするケースもあるのです。
【重要:安全情報】自己判断は危険です
薬の効きすぎや予期せぬ副作用は、あなたの健康に重大な影響を及ぼすリスクがあります。この記事で解説する「避けるべき飲み物」の情報を必ず確認し、服用時は水またはぬるま湯を基本としてください。
この記事では、現役薬剤師の視点から、薬と飲み物の正しい組み合わせ・避けるべき飲み物・安全な服用方法を、エビデンスと実例を交えて詳しく解説します。
大切な体を守り、薬の効果を最大限に活かすためにも、この記事を参考に「正しい飲み方」を今日から実践してみましょう。
【薬剤師監修】薬と飲み合わせが悪い飲み物一覧|NGな理由と正しい対処法を解説

薬は、コップ1杯程度の水かぬるま湯で飲むのが基本です。
これ以外の飲み物で薬を飲むと、薬の吸収が悪くなったり、効き目が強くなりすぎたり、あるいは思わぬ副作用が出ることがあるので注意が必要です。
出典:あなたは大丈夫?間違いやすい、誤解しやすい 薬との付き合い方 | 厚生労働省
薬を服用する際は、常温の水またはぬるま湯で飲むのが最も安全で効果的です。
これは、薬の成分が体に吸収され、最大限の効果を発揮するために最も適した方法だからです。
ですが、忙しいときや外出先で水がないとき、「お茶やジュースで飲んでも大丈夫かな?」と疑問に思う方も多いでしょう。
薬の種類によっては、特定の飲み物と一緒に摂取すると、薬の吸収や、体内で薬を処理する代謝(分解)のしくみに影響を与え、期待される効果が得られなかったり、逆に副作用が強く出てしまうリスクがあります。
薬と飲み物の相互作用とは?間違えると注意が必要な飲み合わせリスクを徹底解説
薬と飲み物の相性が悪い主な理由は、それぞれの成分が体内で相互作用を起こすからです。
「相互作用」とは、薬と薬、あるいは薬と飲食物が体の中でお互いに影響を与え合うことを指します。
例えば、飲み物に含まれる特定の成分が、薬の成分と結びついて吸収を妨げたり、薬を分解する体内の酵素の働きを邪魔したりすることがあります。
これにより、薬の効き目が変わってしまったり、体に予期せぬ影響が出たりするのです。

「この薬、効き目が弱い気がする…」と相談に来られた患者さんの服薬状況を詳しく伺うと、「いつも朝食時にコーヒーで薬を飲んでいた」というケースがありました。
薬の成分によっては、飲み物で効果が薄くなることがあるため、「いつもの習慣」が薬の効果を邪魔していないか注意が必要です。
薬と飲み物の相互作用で起こる体への影響とは?副作用とリスクを解説
相互作用によって体に現れる影響は、大きく分けて以下の3パターンがあります。
- 吸収が邪魔される:薬が腸から血液中に十分吸収されず、効果が弱まる可能性があります。
- 分解・代謝が遅れる(効きすぎ):薬が体内に長く留まりすぎ、効果が過剰に出たり、副作用が強く現れたりする可能性があります。
- 分解・代謝が早まる(効き目が薄い):薬が体内で速やかに分解され、効果が十分に発揮されない可能性があります。


【保存版】薬と一緒に飲むのを避けるべき飲み物7選|薬剤師が教える危険な飲み合わせ

グレープフルーツジュースには、一部の薬の分解を妨げる成分が含まれており、薬の効果が強く出すぎたり、副作用が現れやすくなったりすることがあります。
新しい薬が処方された際は、薬剤師にご確認ください。
出典:Q2 グレープフルーツジュースを避けるべきくすりがあるそうですが、どんなくすりですか。| 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)
ここからは、薬との飲み合わせで注意すべき7種類の飲み物を、薬剤師の実体験を交えて具体的に紹介します。
① お茶(緑茶・ウーロン茶)はNG?タンニンによる薬の吸収阻害に注意
お茶に含まれる「タンニン」という成分は、薬の成分(特に金属イオン)と結合して、薬の吸収を妨げることがあります。
そのため、鉄剤(貧血の薬)などと一緒に飲むのは注意が必要です。
薬の吸収が悪くなり、せっかく飲んでも効果が半減してしまう可能性があります。
また、緑茶に含まれるカテキンが、一部の降圧剤や脂質異常症の薬の効果に影響を与える可能性も指摘されています。
【安全利用の鉄則】
鉄剤の場合は、お茶で飲むと吸収率が大きく低下することが知られています。
特に貧血で治療されている方は、服用前後1〜2時間は、お茶(緑茶・紅茶・ウーロン茶など)の摂取を避けるのが安全です。
② 牛乳は薬と一緒に飲まない方がいい?カルシウムによる吸収阻害の仕組み
牛乳に含まれる「カルシウムイオン」は、特定の薬と結びつきやすい性質を持っています。
例えば、一部の抗生物質や骨粗しょう症治療薬と結合すると、薬が溶けにくくなり、体への吸収が弱まってしまいます。
薬の効果を最大限に得るためにも、薬を飲む際には牛乳は避け、時間をずらして摂取するようにしましょう。
③ コーヒーと薬の危険な関係|カフェインによる副作用増強に注意
コーヒーに含まれる「カフェイン」は、薬の作用を強める可能性があります。
特に風邪薬や気管支拡張剤(喘息の薬など)に含まれる興奮作用のある成分と合わせると、動悸や不眠、手の震えといった症状が強く現れることがあります。
すでにカフェインが含まれている薬とコーヒーを一緒に飲むと、知らず知らずのうちにカフェインを過剰摂取してしまうリスクもあるので注意が必要です。
④ 炭酸飲料は薬の膜を溶かす?胃への刺激や効果低下に注意
炭酸飲料は酸性度が高いため、一部の薬の錠剤を包んでいるコーティング(膜)を溶かしてしまうことがあります。
本来は腸で吸収されるように作られている薬が胃で溶けてしまうと、薬の効き方が変わったり、胃の粘膜を刺激して胃の不調を引き起こしたりする可能性が考えられます。
⑤ グレープフルーツジュースは危険?薬の分解を妨げる成分に要注意
グレープフルーツジュースには薬の分解酵素を阻害する成分が含まれ、薬の血中濃度が上がり副作用や過剰反応を引き起こすリスクがあります。
特に高血圧治療薬(カルシウム拮抗薬)や脂質異常症治療薬(スタチン系)などは、血液中の薬の濃度が必要以上に高くなり、重い副作用が強く現れる可能性があります。
この影響は数日間続くこともあるため、これらの薬を服用中は摂取を控えるべきです。必ず医師や薬剤師に確認しましょう。
⑥ アルコールと薬の併用は危険!肝臓への負担と副作用リスクを解説
アルコールは薬と同じく肝臓で分解されることが多いため、薬との併用は肝臓に大きな負担をかけます。
また、アルコールは中枢神経(脳など)の働きを抑える作用があるため、睡眠薬、精神安定剤、一部の風邪薬などと一緒に摂取すると、眠気やふらつき、意識障害といった副作用が非常に強く現れます。
⑦ スポーツドリンクや栄養ドリンクで薬を飲むのはNG?カフェインとの相互作用に注意
スポーツドリンクは電解質や糖分が多く、栄養ドリンクはカフェインやビタミンなどが多く含まれています。
これらが薬と相互作用を起こし、薬の効果に影響を与えたり、体調を悪化させたりすることがあります。
特に栄養ドリンクに含まれる多量のカフェインが、薬の副作用(動悸、不眠など)を強めることもあります。
安易な飲み合わせは避けましょう。


薬を飲むときの正しい飲み方【薬剤師監修】最も安全な飲み物は水orぬるま湯

薬はジュースではなく水か、ぬるま湯で飲みましょう。
また、薬を飲むときの水の量は、コップ1杯が目安です。
少なすぎると、薬がのどや食道に張りついて炎症を起こす可能性があります。
出典:あなたは大丈夫?間違いやすい、誤解しやすい 薬との付き合い方 | 厚生労働省
最終的に、薬の服用に最も適した飲み物は常温の水またはぬるま湯であり、薬剤師としてもこれを強く推奨します。
その理由は、安全かつ効果的に薬を作用させるためです。
- 薬の成分に影響を与えない:水やぬるま湯は、薬の有効成分と化学的に反応したり、その吸収を妨げたりすることがありません。最も安全な選択肢です。
- 薬をスムーズに運ぶ:コップ1杯(約150~200ml)程度の十分な量の水で飲むことで、薬が食道に留まらず、スムーズに胃まで運ばれ、速やかに溶けて吸収されます。
- 胃への負担を軽減:多めの水で飲むことで、薬が胃壁に直接触れる時間を減らし、胃への刺激や負担を軽減します。
特に指定がない限り、必ず多めの水かぬるま湯で薬を飲むように心がけましょう。
薬の飲み方で困ったら?薬剤師に遠慮なくご相談ください。

薬の飲み方や飲み合わせについて少しでも疑問や不安を感じたら、自己判断せずに、必ず薬剤師や医師に相談してください。
私たちは、皆さんが服用している薬の種類、体質、食生活などを総合的に考慮し、最適なアドバイスを提供できる専門家です。
特に以下の場合は、積極的なご相談をお勧めします。
- 新しく処方された薬があるとき(市販薬との飲み合わせも含む)
- 普段飲んでいる飲み物(健康茶、サプリメントなども含む)との相性が心配なとき
- 過去に薬でアレルギーや副作用が出たことがあるとき

薬局では、お薬手帳を見て「この薬はグレープフルーツジュースと相性が悪いですよ」と注意喚起をしますが、患者さんから「じゃあ、翌日なら大丈夫?」と聞かれることがあります。
薬によっては数日間影響が残るものもあるため、数日前に摂取した場合でも相談していただけると、より安全です。


どんな小さなことでもお気軽にご相談くださいね。
まとめ|薬と飲み物の相性を理解して、正しく服用しよう
- 薬は基本的にコップ1杯の水かぬるま湯で飲むことが大切です。
- お茶(緑茶・ウーロン茶)、牛乳、コーヒー、炭酸飲料、グレープフルーツジュース、アルコール、スポーツドリンク・栄養ドリンクは薬の作用に影響を与える可能性があり、特に注意が必要です。
- 飲み物の成分が薬の吸収や代謝に影響を与え、効果が弱まったり副作用が強まることがあります。
- 飲み合わせに不安があれば、自己判断せず必ず医師や薬剤師に相談しましょう。
- 正しい飲み方を守ることで、薬の効果を最大限に活かし、安全に服用できます。
【重要:免責事項とお願い】
この記事は薬剤師の知見に基づき、一般的な情報提供を目的として作成されています。
特定の症状や疾患の診断・治療を意図したものではありません。
個別の健康状態、薬剤の増量・減量、治療法については、必ず服用されている薬の主治医または薬剤師にご相談ください。

