マグネシウムは飲み物に混ぜても大丈夫?味や効果の変化など薬剤師が解説!

記事監修

薬剤師 YS

薬剤師歴10年以上の経験を持つ現役薬剤師です。ドラッグストア、調剤薬局、管理薬剤師として幅広い薬の知識と実務経験を持っています。生活に役立つ医療情報を専門家の視点から分かりやすく解説します。

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便秘やマグネシウム不足の改善などを目的に使われるマグネシウム製剤。しかし、「服用しづらい味や剤形のため、水やジュースに混ぜてもいいの。」という疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

特に、小さなお子さんや高齢の方の場合、薬の服用は一苦労ということもありますよね。

 

この記事では、薬剤師の視点から「マグネシウムは飲み物に混ぜても大丈夫なのか?」という点について、その種類ごとの特性や、飲み合わせの注意点を含めてわかりやすく解説していきます。

最後までお読みいただき、安全で効果的な服薬方法を見つけるヒントにしてください。

 

1. マグネシウム製剤の種類とは?それぞれの特徴

まず、マグネシウムには薬として使用されるいくつかの種類があります。その代表的なものは以下の通りです。

 

1-1. 酸化マグネシウム(MgO)

一般的に「マグミット」などの商品名で知られ、便秘薬や胃酸を中和する制酸剤として頻繁に使用される医療用医薬品です。

錠剤や粉薬として処方されることが多く、緩やかな効果が特徴です。

 

1-2. 硫酸マグネシウム(エプソム塩)

医療現場では、点滴剤として特定の病態(例えば、子癇発作の予防や不整脈の治療など)に用いられることがあります。

また、近年では「エプソムソルト」として入浴剤としても広く知られており、経皮吸収によりリラックス効果や筋肉痛緩和が期待されています。

 

1-3. クエン酸マグネシウム

サプリメントとしてマグネシウム補給に利用されるほか、医療機関では大腸検査前の下剤としても使用される水溶性の製剤です。

比較的吸収率が高いとされています。

この記事では、皆さんが日常的に服用する機会の多い「酸化マグネシウム」および「クエン酸マグネシウム」に焦点を当てて解説します。

 

2. マグネシウムを飲み物に混ぜてもいいの?基本的な考え方

結論として、マグネシウム製剤は基本的には水に溶かして服用することが可能です。

ただし、薬の種類や性質によっては注意が必要な場合があります。ここからは、それぞれの製剤について詳しく見ていきましょう。

 

2-1. 酸化マグネシウムの場合

酸化マグネシウムは、その名の通り「酸化」されたマグネシウムであり、水にはほとんど溶けません。

そのため、水に混ぜると白く濁るだけで、完全に溶解することはありませんが、服用には支障ありません。

 

粉薬や錠剤(砕いた場合)を、水に混ぜてすぐに飲めば問題ありません。

時間が経つと沈殿することもあるため、飲む直前によくかき混ぜることが大切です。

また、味はほとんどなく、無味無臭に近いため、比較的飲みやすいと感じる方が多いようです。

 

ただし、処方箋薬の酸化マグネシウム錠「ケンエー」やマグミット錠は簡単に水に溶けるように工夫されています。

もし、錠剤のまま服用するのが大変な場合は薬局で相談してみましょう。

 

2-2. クエン酸マグネシウムの場合

クエン酸マグネシウムは、水に溶けやすい性質を持っています。

前述の通り、医療現場で大腸検査前の下剤として大量の水に溶かして服用されるケースもあります。

やや酸味があるため、そのままでは飲みにくいと感じる方もいるかもしれません。

冷水で割ると酸味が和らぎ、比較的飲みやすくなることがあります。

 

3. ジュースやコーヒーに混ぜても大丈夫?要注意な飲み合わせ

水以外の飲み物にマグネシウム製剤を混ぜて服用する際は、特に注意が必要です。

薬の効果に影響を与えたり、思わぬ変化が生じたりする可能性があります。

 

3-1. 薬の効果に影響する可能性

酸化マグネシウムはアルカリ性の性質を持っています。

そのため、酸性の飲料(オレンジジュース、リンゴジュース、炭酸飲料、スポーツドリンクの一部など)と混ぜると、化学反応を起こすことがあります。

この反応により、有効成分が分解されたり、本来期待される効果が弱まったりする恐れがあるため、酸性飲料との併用は避けるのが安全です。

一方、クエン酸マグネシウムは元々酸性であるため、酸性のジュースと混ぜても化学反応のリスクは低いですが、やはり味が変化する可能性はあります。

 

3-2. 味や見た目が大きく変わることも

マグネシウム製剤の種類によっては、独特の苦味やえぐみを持つものもあります。

コーヒーや紅茶、特定のジュースに混ぜると、これらの風味が損なわれたり、薬の味が際立ってしまったりして、かえって飲みにくくなることがあります。

また、飲み物の色や透明度が白く濁るなど、見た目にも変化が生じることがあります。

 

4. 薬剤師おすすめの服用方法は?

薬剤師として、マグネシウム製剤の最も安全で効果的な服用方法として、以下をおすすめします。

  • 水またはぬるま湯(100〜200ml程度)で服用するのが基本です。
  • 粉薬の場合、コップに入れた水によくかき混ぜてから、沈殿する前にすぐに飲むようにしましょう。
  • 錠剤は、特別な指示がない限り、そのまま多めの水で飲み込んでください。砕いて飲む必要がある場合は、砕いてから水に混ぜます。

 

なお、クエン酸マグネシウムなど一部の製剤では、添付文書や医師・薬剤師から「水に溶かして服用」と具体的に指示されることがあります。その場合は、必ずその指示に従ってください

特に、他のお薬を服用している場合や、持病がある場合は、飲み合わせによって予期せぬ影響が出る可能性もありますので、必ず薬剤師に相談しましょう。

 

まとめ:飲みやすさと効果を両立するために

マグネシウム製剤は、その種類によっては飲み物に混ぜて飲むことも可能です。

しかし、製剤の種類や飲み物の性質によっては、薬の効果に影響が出たり、思わぬ反応が生じたりすることもあります。

 

  • 特に酸性飲料(ジュース、炭酸飲料など)との混合は避けるのが賢明です。
  • 最も安全で確実なのは、水やぬるま湯での服用です。
  • もし「味が苦手でどうしても飲めない。」「毎日続けるのがつらい」と感じる場合は、自己判断で工夫する前に、必ず薬剤師に相談してください。ゼリー剤や顆粒剤など、別の剤形を提案できる場合や、より飲みやすくするための具体的なアドバイスを得られることもあります。

 

毎日の服薬を無理なく続けるために、あなたに合った服用方法を一緒に見つけていきましょう。

ご自身の判断だけでなく、専門家である医師や薬剤師の意見を積極的に活用することが、安全で効果的な治療への近道です。

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