【薬剤師監修】ロキソニンを空腹で飲んで胃が痛くなった!安全な正しい飲み方を解説!

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【記事監修】 現役薬剤師(現場経験15年以上)

  • ✔ 監修者:当サイト提携薬剤師(薬剤師免許取得済)
  • ✔ 15年以上にわたり、累計10万枚以上の処方箋を扱った豊富な臨床経験。
  • ✔ 大学病院門前薬局での高度な専門処方(がん治療・難病薬)対応実績あり。
  • ✔ 地域薬局・ドラッグストアでの一般の方への服薬指導・健康相談実績多数。
  • ✔ 本記事は、公的データ(厚生労働省等)に基づき、監修者が内容の正確性と安全性を確認・保証しています。

 

頭痛や生理痛で頼りになる市販の痛み止め「ロキソニンS」(主成分:ロキソプロフェン)。

しかし、「空腹で飲んでも大丈夫?」と不安を感じる方は少なくありません。

この記事では、ベテラン薬剤師の視点から、空腹時にロキソニンを飲んだ場合の胃への影響と、胃の負担を最小限に抑える正しい飲み方を、現場の具体的なエピソードも交えて分かりやすく解説します。

 

【重要】安全情報・リスクの強調ロキソニンSなどのロキソプロフェン製剤は、空腹時の服用を避けるべき薬です。空腹時の服用は、胃潰瘍や胃腸出血などの重篤な副作用のリスクを高める可能性があります。

 

※この記事で「ロキソニン」と記載しているのは、主成分である「ロキソプロフェンナトリウム水和物」を含む解熱鎮痛薬全般(市販薬の「ロキソニンS」シリーズなど)を指します。

 

ロキソニンを空腹で飲むとどうなる?胃の痛みや不調の原因を薬剤師が徹底解説

痛み止めの中でも「ロキソプロフェン」(商品名:ロキソニンSなど)は、製品の説明書や添付文書で空腹時の服用を避けるよう記載されていることが多いです。

これは、薬が持つ2つの性質が、空っぽの胃には大きな負担となるためです。

 

ロキソニンが胃痛を起こす2つの原因|防御機能低下と直接刺激の違い

  1. 【胃の防御機能の低下】ロキソプロフェンは、痛みや炎症を引き起こす物質を抑える強力な作用(シクロオキシゲナーゼ阻害作用)を持つ一方、同時に胃の粘膜を守るバリアの材料(プロスタグランジンという物質)を作る働きも抑えてしまいます。これにより、胃の防御機能が弱くなります。※出典:独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA) 添付文書情報
  2. 【薬による直接的な刺激】ロキソプロフェン自体が酸性の性質を持っています。空腹時の胃は胃酸が多く、胃粘膜がむき出しの状態です。そこに酸性の薬が直接触れることで、粘膜への刺激が強くなり、胃痛や吐き気といった副作用が起こりやすくなります。痛み止めが効くのを急ぐあまり、空腹で飲むと、かえって胃の不調でつらい思いをすることになりかねません。

 

【Q&A形式で解説】患者さんの具体的な疑問に答える(現場エピソード1)

患者さんからの声: 「昨晩、我慢できなくて何も食べていないのにロキソニンを飲みました。そしたら胃がキリキリして…効き目もいつもより遅かった気がします。」

薬剤師の回答: 「それはつらかったですね。空腹時だと、胃の防御機能が低下している上に、薬が胃粘膜を直接刺激してしまい、痛みが増すことがあります。また、胃が荒れると薬の吸収も不安定になり、効果が遅れたり弱まったりすることもあります。今後は、少量でも良いので何か食べてから服用するように心がけてくださいね。

 

ロキソニンを飲むベストタイミングは?薬剤師が教える胃に優しい飲み方のコツ

食後のロキソニン服用と胃を守る飲み方

ロキソニンを安全に服用する3つのポイント|食後・水分量・軽食の工夫

  1. 必ず食事の後に服用する食後すぐ(10分〜30分以内)に服用するのが最も胃に優しく、効果も十分に発揮されます。食事によって薬の吸収が遅れることはありますが、胃への負担軽減のメリットの方が大きいとされています。
  2. 時間がなくても「何か」を胃に入れる「朝食を抜いた」「仕事が忙しくて昼食がまだ」という場合でも、胃に何か入れておくだけで刺激は大きく軽減されます。特におすすめなのは、胃の粘膜を保護する効果も期待できる牛乳、ヨーグルト、バナナなどの少量です。
  3. コップ1杯(約200mL)以上の水で飲む薬が胃に長く留まるほど刺激が強くなりますので、コップ1杯(約200mL)以上の水で一気に流し込み、速やかに腸へ送ることを心がけてください。

 

【Q&A形式で解説】患者さんの具体的な疑問に答える(現場エピソード2)

患者さんからの声: 「痛みがひどいけど食欲がなくて…おにぎり半分でもいいですか?」

薬剤師の回答: 「はい、おにぎり半分でも十分効果があります。重要なのは、胃の中に何かしらの『クッション』を入れておくことです。胃酸が薄まり、薬が粘膜に直接触れるのを防げます。食事量が少ない場合は、食後に胃薬(市販の胃粘膜保護剤など)を併用することを検討するとより安心です。」

 

空腹でどうしてもロキソニンを飲みたい時の対処法と注意点【薬剤師監修】

空腹時のロキソニン緊急対処法

「激しい痛みが来ていて、今すぐ飲まないとつらい。でも食事を摂る時間がない…」という緊急時に、胃の負担を少しでも減らすための工夫を解説します。

 

空腹時にロキソニンを飲む際の3ステップ対処法|胃への負担を減らす方法

  1. 【保護】 少量の牛乳、飲むヨーグルト、または水で胃を湿らせる。
  2. 【服用】 ロキソニンをコップ1杯以上の水で一気に服用する。
  3. 【併用】(可能であれば)胃粘膜を保護する成分(例:スクラルファート、テプレノンなど)を含む市販の胃薬を一緒に服用する。

 

【!!! 重大な注意点 !!!】

この方法は、あくまで「食事を摂れない状況での緊急対処」です。頻繁に行うと胃を荒らす原因となり、重篤な副作用を引き起こすリスクが高まります。

痛みが起こりそうな予感があるなら、事前に軽食を摂ることを強く推奨します。

 

ロキソニンのよくある質問Q&A|胃への影響・種類の違い・飲み方を薬剤師が回答

ロキソニンに関するよくある質問

薬局で患者さんから多く寄せられる、ロキソニンに関する質問にお答えします。

Q. 胃が弱い人は、ロキソニン以外の鎮痛薬を選んだ方がいいの?
A. はい、胃が弱い方は、ロキソプロフェン(ロキソニンSなど)よりアセトアミノフェン(例:タイレノールA、セデス・ハイGの一部成分など)を主成分とする薬をおすすめします。
アセトアミノフェンは胃の防御機能を低下させる作用がほとんどなく、胃への負担が少ないとされています
ただし、ご自身の体質や持病(特に肝臓の病気)によっては服用できない場合があるため、必ず薬剤師にご相談ください。

 

Q. ロキソニンSとロキソニンSプラス/プレミアムはどう違うの?
A. 主成分はどちらもロキソプロフェンナトリウムですが、「プラス」や「プレミアム」には、製品により胃の負担を軽減する成分や鎮痛補助成分が配合されている場合があります。

 

  • ロキソニンSプラス: 一部製品では胃粘膜を保護する成分が配合されています。
  • ロキソニンSプレミアム: 一部製品では鎮痛補助成分や胃保護成分が配合されています。

胃の不調が心配な方は、胃保護成分が配合されたシリーズを選ぶのも一つの手ですが、症状が重い場合は自己判断せず、病院で適切な処方を受けるようにしましょう。

 

Q. 痛みが治まったら、決められた時間でなくても飲まなくていい?
A. はい、痛み止めは「痛い時に飲む薬」です。予防的に飲む薬ではありません。痛みが治まっているのに飲み続ける必要はありません。決められた用法・用量(例:1日2回までなど)の範囲内で、痛みが再発した時に再度服用してください。

 

【Q&A形式で解説】患者さんの具体的な疑問に答える(現場エピソード3)

患者さんからの声: 「ロキソニンを飲むと痛みが楽になりますが、毎日飲んでも大丈夫ですか?」

薬剤師の回答: 「市販のロキソニンSは、原則として短期的な使用を想定しています。毎日、あるいは長期的に継続して服用するのは控えてください。特に頭痛の場合は、飲みすぎによってかえって頭痛が悪化する『薬剤の使用過多による頭痛(MOH)』のリスクがあります。痛みが3日以上続く、または月に10日以上服用する場合は、根本的な原因を特定するためにも、必ず医師の診察を受けてください。」

 

まとめ|ロキソニンは食後の服用が安全で効果的!胃を守る正しい飲み方

ロキソニン(ロキソプロフェン)は優秀な薬ですが、胃への負担がかかりやすい特性があります。

安全に最大の効果を得るために、以下のポイントを心がけましょう。

  • 空腹での服用は胃痛・吐き気などの副作用を招きやすいです。できる限り避けましょう。
  • 食後30分以内を目安に、十分な水分(コップ1杯以上の水)と一緒に服用するのが最も理想的です。
  • どうしても空腹で服用する必要がある場合は、少量の食べ物(牛乳やヨーグルトなど)を摂ってから、多めの水で服用し、可能であれば胃薬も併用しましょう。
  • 持病や服用に関して不安な点があれば、自己判断せずに必ず医師や薬剤師に相談してください。

 

【情報源(引用)の明記】

1. 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA):ロキソプロフェンナトリウム水和物 添付文書情報

2. 厚生労働省 e-JIM (「統合医療」情報発信サイト) :アセトアミノフェン


【重要:免責事項とお願い】

この記事は薬剤師の知見に基づき、一般的な情報提供を目的として作成されています。

特定の症状や疾患の診断・治療を意図したものではありません。

個別の健康状態、薬剤の増量・減量、治療法については、必ず服用されている薬の主治医または薬剤師にご相談ください。

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